そもそもAI(人工知能)とは何か?

 

最近しきりにAI(人工知能)という言葉を耳にします。ただ、実際には良く理解されていなくて、ターミネーターのようにいずれは人類を滅ぼす、人間が機械の奴隷になるなどと言った事まで囁かれる状況で、正確な認識がなされていません。

ここから数回に渡り、AIの簡単な説明、現状、そして、ビジネスの中でどのような可能性を秘めているかについてお話して行きたいと思います。

 

 

AI(人工知能)は何か最近になって出てきた印象がありますが、実際には60年以上前から研究がなされ、過去数回のブームが到来しています。

今回は第3次ブームになりますが、そのきっかけとなったのが、『ディープ・ラーニング』という手法が開発された事にあります。

 

それでは、AI(人工知能)とディープラーニングの関係性についてお話して行きたいと思います。

実は、AI(人工知能)の定義に関しては様々な意見があり、明確な規定が存在する訳ではありません。ですので、認識としては『人間の脳を模して造られたアルゴリズム』という漠然としたイメージで良いと思います。

コンピューターに判断させる為には、データを入力する必要があります。その事を『機械学習』と言います。最近良く聞く『ビックデータ』という言葉がありますが、機械学習ではこのデータの量と結果の精度は比例すると言って良いでしょう。

ただ、このシステムには一つ欠点があります。それは、事象のどこを判断材料とするか、という点を人間が指示しなければならない点です。

 

具体的に例を挙げると、ここにネコが居たとします。
コンピュータがそれを『ネコ』と認識する為に、人間がネコの持つ『特徴量』から、ここに注目しなさい、という指示をする必要があります。

この場合、鳴き声を聞いて『ニャー』と鳴くならネコですので、『鳴き声に注目しなさい。』という指示を人間が指定しないといけません。この指示の精度によって出てくる答えにも当然影響を与えます。
(仮に人間が『シッポ』に注目しなさい、という指示を出したとすると、イヌをネコと判断する可能性も出て来る訳です。)

『ディープ・ラーニング』の素晴らしい点はこの『特徴量』をコンピュータ自身が考える点です。

 

『ディープラーニング』とは、『機械学習』の1つの方法に過ぎませんが、この自分で考える、という能力が画期的なイノベーションを引き起こしているのです。

ディープラーニングでは、もちろん『ビックデータ』の存在が重要なのですが、最近の研究ではより少ない情報で結論に到達する、という手法が確立しつつあります。

当然、情報量が多い方が結果の精度は高いのですが、情報が少ない場合、もしくは情報その物に人間のバイアス(偏見)が入っている場合、既存の人工知能では結果を導き出す事が不可能でした。

人工知能の世界で起きた大事件。

2017年にある大事件が起こりました。

それは、グーグル傘下の企業が作った人工知能(アルファ碁)が当時世界最強と言われた囲碁チャンピオンに勝利したのでした。その後も続々とトップレベルの棋士と対戦し、打ち負かしたのです。

これには、ディープラーニングの技術が用いられたのですが、その為に膨大なビックデータ(棋譜)が用いられました。

ただ、今回の勝因はその『ビックデータ』ではありませんでした。つまり、コンピュータ自身が考えて出した結論により勝利したのです。

 

『アルファ碁』には膨大な『棋譜』が入力されましたが、今回の勝利に貢献したのは『自動学習』の成果だったのです。

 

『アルファ碁』は自身の中で数億通りもの対戦を繰り返して学習しています。その中で打つ『手』には囲碁での常識を外れたものまであり、全ての可能性について検討する訳です。

 

結果的に、『棋譜』とは人間のバイアスが入った情報であり、本当に有効な『一手』はその外側にあったのです。

(人間の『棋譜』とは実は『局所解』に過ぎず、『棋譜』を見ないでやってみたら圧倒的に強い物が出来てしまったのです。)

 

人間は『アルファ碁』の打つ『手』を理解出来ないが、戦局が進むに連れ、その有効性に気付き、最終的には敗れたのです。

『アルファ碁』は定石に捕らわれず、人間には思いもよらない『一手』を見つける事で勝利しましたが、これは『ディープラーニング』の技術が無ければ達成できないものだったのです。

ビックデータとは人間のバイアスの塊 !?

この事は強烈な教訓を示していて、人工知能を運用する場合のボトルネックになる可能性が高いと言えます。

厄介な点は問題が完全に人間の意識の外にあるという事で、元となる情報が間違っているなら、正しい正解が導ける筈はありません。

将来的には、『ビックデータ』を活用しない人工知能という方向に行く可能性はありますが、この辺りに改良の余地を残していると言えます。

最終的なAIの未来

では、AIは最終的にどこに向かっているかと言うと、ロボットとの結合だと思います。脳であるAIと体の役割を果たすロボットが合わされば様々な可能性が拡がります。

個人的には『ドラえモン』みたいな存在ですね。同じ失敗を何度も繰り返すのび太(人間)とドラえもん(ロボット)という関係も何か象徴的です。

そこをゴールだと設定すると、今は随分アンバランスな状態だと言えます。

すなわち、癌を見つけたり、囲碁で世界チャンピオンを打ち負かす事は出来るのに、子供でも出来る物を掴んだり、ドアを開けると言った初歩的な行動は苦手です。

巷で言われているようなターミネーターみたいな世界は、まだまだ遥か先で影すら見えていない、という状況なのです。