AI(人工知能)の企業活用実例(2)Amazon Go

今年アマゾンがシアトルで開店した『レジ無し無人スーパー Amazon Go』を人工知能の活用事例第2弾として取り上げたいと思います。

開店当時はマスコミでも話題となりましたのでご存知の方も多いと思いますが、この店は今までに無い、新しい形の小売業だと言えます。

この店を利用する為には、まず専用のアプリをスマートフォンにダウンロードする必要があります。

ダウンロードとアマゾン・アカウントの登録が済むと店内の専用ゲートから入店。

ここでは、専用アプリに表示されているQRコードをかざしてゲートを通過します。

店内では、日本のコンビニで見られるような直ぐに食べられる弁当類や、店内で製造されるデリカ、また、いかにもアメリカ、というガロン入りの飲料など50坪程の店内には様々な商品が陳列されています。

オーガニック食品の専用棚もあります。

購入した商品をその場で食べることが出来るイート・インスペースも完備しています。

一見、お洒落なコンビニという感じですが、他の店と決定的に違う点があります。

それは、好きな商品を勝手にカバンに入れて決済無しに退店しても良いのです。って言っても当然タダという訳では無く、人工知能があなたが何を買ったのか、という事をカメラなどの機器を使って認識して、専用アプリを使ったスマホ決済を行います。

これにより利用者はレジの列に並ぶという煩わしさから解放され、スムーズに買い物をすることが出来ます。

天井には利用者の動きを監視するカメラやセンサー類がぎっしり。何と、70人迄なら同時に認識が出来るそうです。

商品には、丸や菱型のような表示コード?が付けられており、画像認識し易いデザイン設計がされている模様。

購入した商品は、その内容がスマホのアプリに反映され、間違っていれば訂正を行い、決済を行います。

現在の人工知能の画像解析では問題無く処理出来るシステムですが、難しいのは、一度手に取った商品を後から棚に返したり、と言った日常的に人間が行う行動を認識したり、意図的にカメラから見えないよう隠してカバンに入れるような行為に対して、どう対応するか、という点です。

細かなシステムの内容は公表されていませんが、当然、対策は取られていると思われます。

この『無人コンビニ』ですが、実際の所は、デリカの製造や、商品の陳列、レジ袋の配布、店前の案内係など20名位の人間が従事しているそうで、その辺りの機械化と建設コストが課題となりそうです。

一歩先を行く中国の無人コンビニ

無人店舗において今世界の先端を走るのは中国です。

『Amazon Go』方式の無人店舗もありますが、こちらは日本のスーパーなどにもある『セルフレジ』方式が主流となります。

(中国の『Amazon Go』方式は電子タグを個々の商品に付け認識するタイプ。防犯上は課題が多いが低コストでの運用が可能。)

購入した商品は、『セルフレジ』で会計を行いスマホ決済。

際立つ中国のスピード感

アメリカが『技術偏重主義』とするなら、中国は『合理主義』と言えるのではないでしょうか。

最新技術を詰め込んだ『Amazon Go』に対し、中国の店舗はコンテナを改良した小型店舗。

店舗の設置が数時間から1日で出来る為、ちょっとした空きスペースがあれば開業できます。

入り口は、専用アプリか、顔認証で開錠して買い物をする、言わば、巨大な自動販売機みたいな存在です。その分、開業コストが抑えられ、多店舗展開ができ既にビジネスとして成立しています。

一方、アマゾンは完璧を目指すあまり膨大なコストと、20人もの人間を配置した『無人コンビニ』を作り上げました

ポイント 完璧な『技術』にこだわるアメリカと、不完全でも『合理性』と『スピード』を優先する中国。

両国の取り組みには非常に象徴的な物を感じます。それは『スピード感』の違いです。

アメリカは常に技術偏重タイプで斬新なビジネスモデルを作ろう、という意識が高く、それが、スピード感を鈍らせているし、コストの上昇を招いてます。

一方、中国は考えが合理的です。ハイテクにこだわらずアナログでもコストが低いなら躊躇なく取り入れ、少しでも早くリリースしようとします。

 

中国人は『模倣』を躊躇しません。

新しものが出てくると直ぐに類似サービスが出現します。ですので、とにかく『スピード感』を重視する傾向があります。真似される前に次のステージに進まないと、生き残れないからです。

結果として、アメリカが参入する頃には中国では淘汰が始まっている、という現実があるのです。この差はビジネスの世界では致命的です。

アメリカは斬新ですが、損益分岐点が高過ぎて事業化までの道のりは遠いです。何か『イノーベーションを起こさないといけない!!』という意識が合理性を奪っている気がしてなりません。そして、同じことが日本に対してもいえるのです。

最近、私は中国の『スピード感』に対し、恐怖すら覚えます。彼らは本当に速い。日本は完全に置いて行かれた感があります。

とくに注視しないといけないのが、『アリババ』と『テンセント』です。彼らの事業スピードは企業の大きさを考えると驚異的で、その為に『ビックデータ』を巧みに利用します。

 

日本では中国企業を軽視する傾向がありますが、実際には彼らは何歩も先を走っていますし、今、真剣に対応を考えないと2度追い付けない状況に陥るのは確実です。

その為には『スピード』です。日本人は不完全な物を嫌う国民性がありますが、作ってから改良すれば良いのです。まずは『スピード感』を最優先に考える必要があるのです。