なぜ中国では急速に『スマホ決済』が普及したのか?

日本では相変わらず『現金主義』が蔓延している一方、既に中国では国全体の40%、年間660兆円の金額がスマホで決済されています。利用者は12億人と2年間で6倍に急拡大しており、一躍『電子決済大国』に躍進したのでした。

クレジットカードを含めた『電子決済』が日本で普及しないのは手数料が問題となるからです。加盟店は一般的に3~5%の手数料をカード会社に支払分ければならず、それが利益を圧迫してしまうのです。

中国で『スマホ決済』がここまで普及した訳は、この『手数料』を無料に設定した事です。

現在、中国ではアリババが運営する『アリペイ』とテンセントが運営する『Wechat』という2種類の『スマホ決済』システムが市場を二分しています。彼らは手数料が0円でも利益が出るシステムを作り上げたのです。

・どこでも利用できる『スマホ決済』

現在、中国ではホテルから道端の屋台まで、どこでも『スマホ決済』を使う事が出来ます。導入も簡単で店頭に『QRコード』を印刷したシールを貼るだけ。カードリーダーなど高価な初期費用は必要ありません。

経営者にとって、投資ゼロ、リスクゼロな訳ですので対応しといて損はありません。このようなシステムが『スマホ決済』を町中に広げ、利用者の利便性に繋げて行ったのです。

・手数料ゼロでも利益が出る秘密

購買履歴から得られる大量のビックデータ

電子決済で得られる最大のメリットはこれです。通常の紙のお金だと、そこに名前はありません。しかし、電子決済にすると、どのような年齢・性別・地域など様々な属性が分かり、利用頻度や金額から所得水準まで分かります。

このデータにより企業は、その人に合った効果的な広告を打つことが可能になり、非常に価値のある情報になります。

『スマホ決済』を使用するには、実名と身分証明書の登録が必要です。それらの個人情報と、購入した商品、金額、店舗名が紐づくという事は、莫大な価値を生み出すのです。

・広告収入で利益を上げる

例えば『アリペイ』を例にとると、そのアプリは5億人がダウンロードし、1日に2億回の決済が行われます。

アプリに広告を配信するだけで、相当額の広告収入が得られるのです。

 

・付帯する金融機能で利益を上げる

アリペイの残高が少ない時はキャッシング機能を使えるし、クレジットカードのリボルビング払いのような機能もあります。そこからの利子収入も収益の大きな柱となります。

また、『アリペイ』はお金を入れておくと4%程度の利子を付けてくれる『銀行機能』を備えています。アリババはそれを金融市場で運用して利益を上げています。

・信用情報で利益を上げる

スマホ決済が社会に浸透し、通貨のように機能し出すと、支払い状況などの信用情報が得られます。それをスコア化したものが『芝麻情報』と言われるサービスです。

アリババが運営するこのシステムは、個人の信用度を950点満点で算出し、スコア化します。このスコアが高いと、ビザの取得が有利に働いたり、ホテルに宿泊の際のデポジットの免除、また、大都市ではスコアの高い人には無利子で融資する、という金融業者まで現れています。

このように社会的実利の大きいシステムですが、点数を上げる為にはローンを多用すると有利な設計となっています。つまり、信用情報とは、『ローンを返済した履歴』に他ならないのです。

この事が、ローンを誘発し、それが増えればアリババの利子収入も増えると言う連鎖を生み出しているのです。

『スマホ決済』は、王者のビジネス

このように、『スマホ決済』ビジネスから得られるものは膨大です。毎日数億人にアプローチ出来るだけで無く、そのお金の動きが全部分かってしまうのです。そこから得られるビジネスチャンスは驚異的で、『アリババ』と『テンセント』という2大企業がどれだけ有利にビジネスを進められるかお判りいただけると思います。

この情報の質は、かなり高く、例えば世界の検索エンジンを握る『グーグル』でさえ、検索エンジンを通じて利用者が、何に興味があるのか?、は理解出来ても、実際に『何に、幾らお金をつかったか?』、という情報は得られません。

中国市場の重要さは以前から言われてますが、我々は、このような相手と対峙している、という事を忘れてはいけません。彼らは自国の市場を知り尽くした上で、人工知能という最新のテクノロジーを使いこなす材料を持っているのです。