中国社会を支える宅配便事業

1年間の世界全体の宅配便件数はおよそ800億件。実にその中の約半分である401億件が昨年1年間の中国国内での流通量となります。

特に1年で最も買い物が多いとされる『独身の日』には、冒頭の写真のように文字通り『荷物が溢れる』状態に陥ります。この膨大な量を捌く宅配業は中国国内でも急成長しており、既に7社の上場企業を生み出しています。

ただ、それでも十分とは言えず、増え続ける荷量に対応すべく最先端技術を投入してギリギリで廻している、と言うのが現状であると言えるのです。

つぎ込まれる最先端技術

Amazonで実験段階とされているドローンを用いた配送ですが、中国では既に実用化され、スターバックスコーヒーやケンタッキー・フライド・チキンと言った企業が活用しています。

墜落などの危険性を鑑みて、まだ地方都市での活用となっていますが、50㎞以内での距離であれば、1m四方の精度で着陸する事ができ、到着後は利用者にアプリを介して伝えるシステムとなっています。

また、その他の技術としては荷物の仕分けに人工知能を活用したり、無人飛行機の使用、さらには自動運転機能を使った配送も、まだ公道実験の最中ではあるが実用化レベルにあると言われています。

人手不足が深刻な問題に…

日本同様、中国でも流通業での人手不足は深刻です。

多くの宅配業者が構築しているネットワークは各地方の基幹拠点の物流センター迄で、ラスト・ワンマイルである各家庭までの配送は、委託業者が請け負っています。比較的小規模の業者や個人が多い事から低賃金が蔓延しており、そのサービスの質を確保するのに各社苦労していると言えます。

ただ、最大の問題は『儲からない』事です。

零細業者でも荷物を保管する事務所が必要で、家賃など様々な経費で月3000元は必要なのに関わらず、荷物1つ当たりの単価は1元。そうなると1日に200個の荷物を配達しないと経営が成り立たない。

その上、宅配企業は委託業者の質を向上させる為『罰金制度』を採用しています。つまり、荷物の破損や遅延に対し罰金を科し、客から何らかのクレームがあれば、これにも罰金となる。この事が財務状況の悪化を招き委託業者の倒産が絶えない。その事がシステムの不安定さに拍車を掛けているのです。

現状、委託業者は休みなく毎日12時間働いても月に10万円も稼げない状態です。そんな状況でも何とか廻っているのは農村からの出稼ぎで、都市部に大量に人が流入している為ですが、このバランスが崩れると、直ぐにでも崩壊する危険性を秘めていると言えます。

力を持ち過ぎたECサイト

現在、中国の宅配便の荷物の80%はネット通販商品だと言われています。それによりECサイトの発言力が高まり、荷物の単価は10年で半分にまで落ち込みました。日本でもクロネコヤマトや佐川急便がAmazonの荷物を一部拒否するという事態に発展しましたが、中国では現実問題それは不可能だと言えます。

配送の自動化が鍵に…

経済発展により増え続ける荷物と減り続ける人口を考えると物流の自動化は避けて通れない問題です。

自動運転技術は日々進歩し、ほぼ実用域にまで達していますが、問題は『ラスト・ワンマイル』と言われる拠点から各家庭までの配送です。ここの自動化が達成できなければECサイト各社は配送の内製化に追い込まれるのは必至です。一部Amazonなどでは同様の動きが見えますが、全世界に自社で流通インフラを整備すると言うのは現実的ではありません。

ここを技術の進歩でいかにブレークスルーするか、ここに未来が託されていると言えます。