小売業の覇権を掛けるウォルマートの攻勢

 

今、小売業の覇権を狙うAmazonを猛攻しているのが、世界最大の小売業を展開するウォルマートです。

彼らは、次々とEC関連の企業を買収し、自らの強みを活用したオムニチャネルを強力に推し進めているのです。今回は、その取り組みについてお話して行きたいと思います。

 

アメリカ国民の9割を半径10マイル以内に捉える店舗網

これこそが、彼らの持つ最大の武器と言えます。

年間で51兆円もの売り上げを叩き出す世界最大の企業ウォルマートは過去、徹底したドミナント戦略によるサプライチェーンの効率化と薄利多売により現在の地位を築き上げました。現在、その潤沢な資金を背景に大規模なネット強化策を推進しています。

このオムニチャネル戦略においてウォルマートの持つ店舗網は、Amazonにとって最大の脅威と言えます。その価値をさらに高めるべくこの数年で10社以上の電子商取引企業を買収し、短期間で100億ドルのネット売上高を記録、実にAmazonを凌駕する30%の成長率を達成したのでした。

・食品に強みを持つウォルマート

世界の小売業がこぞって取り組んでいるオムニチャネルですが、その主戦場は『食品』だと言われています。彼らはそこで価格・種類・流通、そして地理的分野において強烈な強みを持っているのです。

それを活かす取組みとして現在試験的に一部の店舗に導入しているのが『冷蔵倉庫』です。

 

この倉庫の特徴は、ネットで注文した食品を従業員を介さずに、365日24時間いつでも受け取る事にあります。

この高さ6m幅24mの倉庫は、冷蔵・冷凍設備を有しており、顧客コードを入力する事で受け取る事が出来ます。夜中・早朝など時間を選ばない事が人気を得ているそうです。

また、こちらは700店舗に配備され、既に実用化されている設備として、『ピックアップ・タワー』が有ります。

 

 

冷蔵機能は無いが、こちらもオンラインで購入した商品をピッアップ出来ます。テレビのような大型製品にも対応しており、1分も要さずに気軽に利用できるシステムになっています。

ウォルマートが買収した電子商取引企業

・JET.COM

 

2015年にオープンしたネット通販サイト。2016年に30億ドルで買収。

Amazonより日用品を安く売る事で一躍有名になりました。ビジネスモデルとしては、ネット界の『コストコ』のようなシステムで、年間50ドル程の年会費を徴収。この価格は、コストコやAmazonの『プライム会員』より安く設定されており、徹底的に『安さ』に拘っている点が特徴と言えます。

・ボノボス

 

男性衣料品をオムニチャネルで販売。2017年に3億1000万ドルで買収。

リアル店舗は存在するが、一切の在庫を持たない事が最大の特徴。店舗はショールームの役割のみを果たし試着のみ、決済も電子決済で行う。商品は即日発送で、早ければ翌日にも顧客のもとに届く仕組み。家賃や人件費などの固定費を圧縮する事で優位性を確保。

・ムースジョー

 

アウトドア用品を実店舗とネットで販売。2017年に5100万ドルで買収。

アウトドア系通販ショップとして大手の地位を有し、400のアウトドアブランドと12万品目の商品を扱う。リアル店舗も10店舗保有し、350名の従業員を抱える。

 

・フリップカート

 

インドでの電子商取引市場で39%のシェアを握る最大手。これはAmazonの32%を凌駕する。ウォルマートが率いるグループが150億ドルで買収。

7500万人の登録ユーザーを有し、毎日1000万回の閲覧を記録している。8万社以上の企業が3000万種類の商品を販売しており、何でも揃う事が最大のウリ。

 

上記の企業は、ほんの一部に過ぎませんがeコマースに積極的に投資する一方、新規店舗の抑制や日本の西友売却に見て取れるようリアル店舗への投資を削減する戦略を明確にしています。

これにより、2018年にはネットでの売上高が4割上昇する事を見込んでおり、Amazonを超える急成長を続けています。

 

現在の市場シェアは4%と、市場の4割を独占するAmazonには遠く及びませんが、現在多くの有能なIT人材を積極的に採用するなど基盤が整いつつあります。後発の優位性を持ちつつ、Amazonが決して持ち得ないインフラを持つ同社が近い将来に台頭する事は、ほぼ間違いないと言えるのではないでしょうか。