なぜアリババはユニ・チャームのオムツを0.1円で売るのか?

 

杭州のとあるショッピング・モールにある授乳室。そこでは粉ミルク用に適温のお湯やオムツ台、ウエットティッシュなどが完備されています。そこにある大きな自動販売機。これ実はユニ・チャームのオムツをばら売りしてくれるんです。それも値段は1分(日本円で0.1円)。

これは中国の物価でもタダに等しい値段ですが、敢えて無料で無く『販売』という手法を取るには重要な意味が存在します。

 

 

この自販機、実はアリババが展開する天猫が運営しています。これは、現金で買う事は出来ず、必ずアリババが運営するスマホ決済アプリ『アリペイ』を使用する事が条件となっているのです。ただ同然の値段ながら、ただで配布すると顧客情報は手に入りません。

『アリペイ』を使用する事で、ただの自販機が利用者の家族構成という『情報』を得る為の道具となるのです。

 

 

この『赤ん坊がいる家族の一員』と言うデータは非常に大きな価値を生みます。オムツや粉ミルクなどの子供用品の購買層という情報だけでなく、子供服、教育、記念品など、その赤ん坊の成長に合わせて、その後、数十年使用出来る長期的な価値を持つ『優良情報』と成り得るのです。それが、オムツ1枚で得られるのですから非常に巧妙なシステムだと言えます。

 

 

インターネットの時代では、広告を配信する代わりにサービスを無料で提供すると言うビジネスモデルが広く用いられてきました。しかし、人工知能の時代ではこの『情報』が大きな意味を持ちます。

 

それも正確で詳細な個人情報に紐づいた『情報』です。その情報を得る有効なツールが『電子決済』なのです。

 

電子決済アプリを使用するには、多くの個人情報を申請する必要があります。中国では既に15%の人が財布を持ち歩かない生活をしており、給料が入ると全額を電子決済アプリにプールして使用しています。その使用額や頻度から年収や社会的地位などの情報も得る事ができ、それは企業にとって非常に有益な物なのです。

 

 

現在『スマホ決済』創成期にある日本では、楽天、ヤフー、AmazonやLINEなど様々な企業が参入を決めています。彼らが狙うのはこの『購買情報』です。仮にこの情報が独占できれば、その力は絶大です。

情報自体を売る事も出来ますし、それを活用して自社で事業展開やコンサルティングなどを行えば、かなり効果的なマーケティングが打てるからです。

その為、このプラットフォームをどこが押さえるか?という事は非常に重要な意味を持つのです。

 

近い将来、今まで以上に個人情報と引き換えに便利さを享受するという世界が到来します。そこでは、『プライバシー』の概念が再定義され、今とはかなり違った意味合いを持つことは確実だと言えます。

そんな中、どこにその間を設定して行くか、法整備も含めて考えて行く必要があるのではないでしょうか。