ソフトバンクは、なぜライドシェアへの投資を続けるのか?

 

ソフトバンクの孫正義CEOは、自らが運営するファンドを活用し、ウーバー・DiDiなど世界中のライドシェア企業に巨額の投資を続けています。その手法は、まさに『見境なく』と形容できる程で、彼は短期間のうちに全世界のライドシェア企業の筆頭株主の座を奪還しました。

 

彼は、なぜそこまでして投資を続けるのか?

私は彼の狙いは、人々の移動に伴う『ビックデータの獲得』ではないかと思っています。

 

孫正義。

一代でソフトバンクという企業を築き上げた日本有数の起業家です。型破りな経営姿勢と未来を予見する彼の眼には定評があります。まだ社員が数名だった頃の米国『ヤフー社』や中国『アリババ社』をいち早く見つけ、投資を行ってきました。

そんな彼が、今一番熱心なのが世界の『ライドシェア業界』への投資です。

 

 

普通このような投資ではライバル社への投資は控えるものですが、彼の手法は、まさに業界そのものを手中に収めようとするかのような形相を呈しています。

現在、ライドシェア業界には世界中の完成車メーカーが出資を行っていますが、その中においてソフトバンクの影響力は突出して大きなものであると言えます。

 

 

彼ら自動車メーカーの狙いは明白です。

トヨタ自動車CEOである豊田章男社長が『所有から利用に…』と言うように、自動運転の時代には自動車メーカーはクルマの販売業から『移動というサービスを提供するサービス業』へと変化すると言われています。

そんな時代に力を持つのは、もはや自動車メーカーでは無く、移動というプラットフォームを持つ企業です。それが即ち『ライドシェア』なのです。その意味で、まだまだ過渡期にある業界であるとは言えますが、将来的に重要な地位になるものと予想されます。

 

このような状況の中、私は孫正義氏はその先を見ているのではないかと感じています。それが先ほど述べた『ビックデータ』です。

現在、世界の覇権を握ると言われる米グーグル社の強さの秘訣は『人々が何に興味を持っているか』という情報を持っている事です。彼らは、それを自身の持つ検索エンジンから取得して、人工知能を活用する事により効果的な広告を打つことが出来ます。

また、人々が検索を行う際にどの情報を上位に出力させるか、と言う決定権を持つ力というのは絶大です。

 

その『絶大な力』に対抗できるのは私は、『移動』と『お金の流れ』に関する情報だと確信しています。

 

 

 

人々は、行動を起こす際には、まず情報収集を行い、それから行動し、お金を消費します。検索エンジンでは人々の興味の対象は読み取る事は出来ますが、結果的に何を選択して、何にお金を消費したかという情報は分かりません。

その具体的な情報が『移動の情報』なのです。ライドシェアでは、この情報をリアルタイムで収集する事が可能で、尚且つ、そのデータを活用すれば、前もって予想する事も可能なのです。

 

この流れの中、彼らが常に狙うのは『電子決済』なのではないかと感じています。現在、電子決済の分野で世界の最先端を走る企業の一つが中国の『アリババ集団』です。そして、その創業者であるジャック・マー氏はソフトバンクグループの社外取締役でもあります。彼らの持つプラットフォームとソフトバンクの持つ情報を融合できれば、かなり面白い未来が予想できます。

 

ただ、お互いを尊敬しながらも互いに短期間で巨大な帝国を作り上げたライバルでもあります。物事が簡単に進むとは思えません。

しかし、中国国内では絶大な力を持つアリババ集団ですが、国際市場への進出はまだ始まったばかり。互いが協調する土壌は、まだまだ存在しています。

本当の意味で『情報の価値』を理解している経営者は世界ではまだ多くありません。その中で、この2人の稀有な経営者は、その価値を見抜いています。

 

果たして2人の目には、どんな未来が見えているのか、凡人の私などには思いもよりませんが、彼らには明確な未来が見えていると思います。その意味で、彼らが今後どのような動きをするのか、注意深く見て行く事が必要であると思います。