国内の食品市場へのeコマースの取組み

 

eコマースの主戦場は『生鮮食品』だと言われて久しいですが、60兆円もの巨大市場にも関わらず未だ主要プレーヤーが存在しない状況には理由があります。現在、この巨大市場でのeコマース比率は僅か2%と言われており、参入の難しさと課題の多さを表していると言えます。

・食品eコマースの課題

  • 鮮度などを確認して買いたい、という欲求が強い。
  • 都市部であれば、スーパーが多く存在。リアル店舗との競合が多い。
  • 単価が低い上に、形が不揃いで傷みやすい為、保管・梱包が手間。
  •  商品の差別化が難しい。
  •  流通時の温度管理や敏速さが必要な為、配送コストがかさむ。

とにかく、理由を挙げようとすると、この他にも様々な理由が挙げられます。過疎地などの『買い物難民』で無ければ生鮮食料品をeコマースで購入する事は『わざわざ』という印象を受けます。要はスーパーに足を運んだ方が早いし安心な訳です。

しかし、国内eコマースの現状を見る限り『Amazon』『楽天』『ヤフー』という3社がBtoC市場に於いて市場を占有しており、既に『寡占』状態と言えます。そこに60兆円という巨大市場の存在は、まさに『一発逆転』を可能にする市場規模を秘めている訳です。

 

・各社の取組み

 

まずは、Amazonから見て行くと、同社は現在と東京の一部地域限定で『Amazonフレッシュ』を展開しています。これは川崎にある物流センターから生鮮食品を注文から最短4時間、配送枠は2時間単位という細かい時間設定で配送してくれるサービスです。

 

『楽天』もウォルマート傘下の西友と提携し2018年8月に『楽天西友ネットスーパー』を設立。柏に物流拠点を設けて本格的な参入を目指していますが、ウォルマートは西友を売却する方針で、まだ買い手が見つかっていない状態。売却先如何によっては、事業そのものに影響を受ける可能性があります。楽天自身が資本参加するのが好ましいですが、携帯事業に参入したばかりで、キャッシュ面から厳しい状況です。

 

一方、ヤフーは子会社の『アスクル』を通して『セブン&アイ ホールディングス』と提携して『IYフレッシュ』というサービスを2017年から始めています。

これは、イトーヨーカドーの商品を通販大手アスクルの配送網を利用して1時間単位のきめ細かい配送を実現する物です。この手法により通常15%ある不在率を2%台にまで効率化する事に成功しました。

ただ、恐らくヤフーとしては『セブンイレブン』を活用した『店舗受取型』モデルを導入したいと言う思いはあると思います。冷蔵設備と場所を取る、商品が重複する、という理由がネックとなっていると想像できますが、惜しいなぁ、という印象はぬぐえません。

 

 

各社の取組みを見てきましたが、まだマルチチャネルの域を出ていないと言う印象で、オムニチャンネルを既に達成している中国アリババには太刀打ち出来るレベルにはありません。

 

小さい子供を持つ家庭などでは一定の需要があると思いますが、やはり日常的に買い物する物に対し送料を払うのは抵抗を感じますし、2時間単位の配送では、待ってる内にスーパーに行った方が早いと感じます

やはり、『敢えて』eコマースを使うのであればアリババのように注文後30分で届く、という強烈な利便性か、商品の希少性が必要になります。ただ、『稀少性』は所詮ニッチな市場しか生み出さず、やはり『流通』が普及の鍵になる事は明確です。ここのコストを如何に効率化するか、ですがオムニチャネルがその答えの1つだという事は間違いなさそうでです。

 

店舗網から考えるとコンビニを活用した『店舗受取型』に可能性を感じますが、先に述べた理由により抵抗は大きいでしょう。コンビニでスーパーの商品を買えるなら、わざわざ『定価』のコンビニで買い物する人は居ませんからね。野菜に絞った運用で、本部が加盟店にある程度の利益を分配する方向で調整できればベストですね。

 

 ただ、個人的には食品に関しては配送の内製化は避けて通れないと感じています。または、『ウーバーイーツ』のような外部の業者に委託する方法もありますが、伝統的な配送システムでは顧客の利便性を満足させるのは不可能です。

また、送料に関しても、ピザや新聞のように商品の値段で吸収するようにしないと、配送料を払ってまでeコマースを利用する人は限られてくると思います。

即時性と商品の品質を両立する事、その事が重要になってくるのは確実ですが、その手法を確立する為にはいくつものハードルが存在します。ネットというバーチャルな世界に如何に距離の概念を融合できるか、今後の各社の取組みから目が離せません。