多くの配送員を抱える必要がある為、人件費の安い中国だから可能と言う見方もありますが、レジをセルフ化したり、電子決済でお金のやり取りを無くすなど、本当に必要な所に集中して人員を配置していると言えます。
この手法で既にフーマー・フレッシュは独り勝ち状態を維持しています。新しいビジネスモデルが出来ると、直ぐに模倣されてしまう中国でも、1日に5000人ものオンライン注文を取る事は容易ではないのです。
しかし、中国のビックデータの活用には驚かされます。もともと、個人のプライバシーへの関心が薄いという面はありますが、一企業がこれだけの情報を自社で収集でき、尚且つ人工知能を用いて最先端の解析を行っている例は世界を見渡しても類を見ません。
それには、電子決済が大きな役割を果たしているのですが、この手法はビジネスの在り方を激変させました。それが現在、中国で起こっているアリババとテンセントという2代巨頭による経済の覇権です。
日本を含め欧米では、過去の財閥経営の反省からシナジーの発揮できない『多角化』は敬遠されてきました。しかし、中国では『情報』をコア・コンピタンスとした経済の多角化が進行しています。アリババにしてもネットショッピングからコンビニ、宅配、小売りなど一見無関係とも思える業界に次々と進出しています。
つまり、彼らの強みはビックデータの解析により業種に拘らず、地域に最適化したビジネスが展開できる点にあるのです。
この事は、『情報強者』が全てを得る、という時代の到来を予見しています。即ち、人工知能は業界の壁を無くし、全ての企業がライバルと成り得る事を証明しているのです。
この流れが世界の潮流となるとは限りませんが、今が大きな変革期になる事はほぼ確実と言えます。
(実際、世界的に自動車業界では似たような事例が散見されます。テスラ、ダイソン、グーグル、アップルなどの異業種が次々と参入してきています。EV化という要因も大きいですが、『自動運転』という自動車のAI化が大きな要因となっている事は確かです。)
その意味で、中国の動向は注意して見守る必要があると言えるのです。