スマホ決済で大手企業がメタップスには絶対に勝てないと断言出来る理由。

 

Amazon、LINE、ヤフー、楽天など名だたるプレーヤーが続々と参入するスマホ決済市場。そんな中、メガバンク3行が規格の統一に動き出し、『メタップス』が開発したシステムを採用する事を決めました。

※追記:(三菱UFJ銀行がメタップスのシステムを採用する方針を固めた事実は今日現在ありません。記事は、ビジネスインサイダー誌の内容を基に書きましたが、メタップス社から正式なコメントとして、それを否定する内容をリリースしています。記事の正確性を欠いた事を深くお詫びします。)

企業規模では、他社に大きく劣る『メタップス』がなぜ大手を出し抜き優位性を築けたのか?その戦略について見て行きたいと思います。

中国では既に財布さえ必要無いとさえ言われている程普及しているスマホ決済。QRコードを使用する事ばかりクローズアップされがちですが、このシステムの本質は、加盟店から手数料を取らず、付帯する金融機能や、そこから得られる情報などから収益を上げるビジネスモデルにあります。

(中国では手数料は1%未満というのが常識です。)

確かにLINEなどは手数料無料というのをウリにしてますが、それはあくまでも期間限定のお話。結論から言うと、メタップスとLINE以外の企業は、単にクレジットカードをスマホに代替しただけ、というのが現実です。
(クレジットカードでの支払いが当たり前のAmazon、楽天、ヤフーは、既存アカウントを有効活用しようとするとクレカと紐づけた方が合理的なのです。)

なぜか?

それは、決済をクレジットカードを通して行う仕組みになっているからです。こうなると、当然ですが信販会社が間に入る為、3~5%の手数料が発生してしまいます言うまでもありませんが、日本で今まで電子決済が普及しなかったのは、この手数料が原因でした。

では、中国ではどうなっているか?

現在、中国でのスマホ決済はアリババが運営する『アリペイ』と、テンセントが運営する『We chatペイ』が独占している状態ですが、双方とも『デビットカード方式』を採用しています。つまり、予めお金をチャージしておき、その範囲で使用する仕組みです。この銀行口座に紐づける事で、貸し倒れリスクを無くし手数料の課金を抑えているのです。

メタップスも同様のシステムを取っているのですが、お金をチャージする際の振込手数料が発生するようだと本末転倒です。そこで、彼らはまず銀行を仲間に引き入れる事で、その手数料を無料化する事に成功しました。

一方、銀行側の思惑にしても、クレジットカードに紐付けられると、それは死活問題です。その上、全国に張り巡らされたATM網は、莫大な維持管理費用が必要で、銀行の収益を大きく圧迫しているのでした。

今回は、そんな双方の利害が一致した事が、協力関係構築の大きな要素となったのです。

スマホ決済の普及のカギは、とにかく導入のハードルを下げる事です。

特別な端末が必要であったり、高い手数料負担があれば多くの個人事業主は躊躇します。対応する店舗が少ないと当然利用者は増えないのはクレジットカードの現状をみれば分かると思います。

一方に於いて、事業者にとっては現金をやり取りする為に業務が煩雑になったりと、確実にコストは存在します。現在は多くの商店や企業が『セコム』などに警備を依頼してますが、店に現金がなければ、その必要性が無くなる企業も多く存在すると思います。私達はあまり意識していませんが、現金のやり取りに必要なコストは意外と多いのです。

・電子決済の儲け方

では手数料を取れないのであれば、どこで儲けるのか?

中国の現状から、その中身を見て行きたいと思います。

 

・ビックデータで儲ける

利用者が、『いつ、どこで、何を買ったか?』、この情報が持つ意味はかなり有益です。あのグーグルでさえ、検索履歴などから『何に興味があるか?』という事は分かっても、最終的に何を選択したか?、は分かりません。

スマホ決済では、利用者の正確な個人情報と購買履歴を分析する事で、趣味や収入、それに時には家族構成まで分かります。企業のマーケティング担当者は、それを利用する事で精度の高い施策が打てるのです。

・消費者金融機能で儲ける

これは、カードの分割払いや、リボルビング払いは勿論、実際にお金を貸し付ける事での利子収入です。

運営側にとっては、比較的少額な貸付であると同時に、過去の履歴から信用情報が得やすい為、低リスクでの運用が可能になります。

・信用情報で儲ける

アリババでは、この膨大な購買履歴情報を利用した社会信用スコア『芝麻信用』を提供しています。これは、個人の信用度を数値化するサービスで、この点数が高いと、ホテルやレジャーの優先予約、はたまた海外渡航の際のビザの発給などにも影響します。点数が低いと賃貸マンションの契約などにも支障をきたす反面、面子を気にする中国人にとっては、一種のステータスとしても機能してます。

数値は毎月変更される為、いかに数値を上げるか、という事が大きな関心毎になり、『アリペイ』の積極利用のモチベーションに繋がります。

・アプリ内広告で儲ける

5億人がダウンロードし、1日に2億人が利用する、というアプリは世界中を見渡しても多くは存在しません。ここに広告を配信するだけで、かなりの額の広告収入が手に入ります。

業界最安値の手数料を武器に快進撃を続けるメタップスですが、本格的な戦いはこれからだと言えます。ただ、初めにメガバンク3行を抑えた事で、オセロで言う角の1つに布石を打ったと言えます。

今後は、地銀をいかに押さえるかが焦点になりますが一定の優位性は確保出来たと言えるのではないでしょうか。今後の活躍が楽しみなベンチャーですので、注意深く見て行きたいと思います。