Eコマースでの生鮮食品取扱いへの課題

Eコマース全盛の時代にあって、生鮮食品のEコマースのシェアは僅か2%と、その参入の難しさを象徴していると言えます。

世界では、2007年にAmazonが『Amazonフレッシュ』を初めて以来、グーグルなど名だたるプレーヤーが参入しています。その後、Amazonは日本でも生鮮食品の取り扱いを一部地域で初めており、国内企業でもヤフー、楽天、セブン&アイ ホールディングスなど、続々と進出しているのが現状である。

ただ、恐らく『オイシックス社』などの有機野菜系を除くと、黒字化しているのはイトーヨーカ堂位だと思われるが、売上額はまだ500億円程で、正直、どこも苦労している、という印象を拭えません。

業界各社にとって、Amazonは非常に脅威であり、最後の牙城である食品部門まで取られる事は、まさに死を意味するようなものと言えます。
一方、Amazonにとっても唯一の弱点とも言える『女性層』の取り込みが出来るこの分野は是が非でも押さえておきたい要所だと言えるのです。

ただ、Amazonにとって最大の弱点はリアル店舗が存在しないという事。アメリカでは『ホールフーズ』の買収で、そこから商品を調達出来ます。利用者は、実際に店舗に行って商品を見て・触る事が可能なのです。中国での『フーマ・フレッシュ』の成功を見て分かるように、この要素はかなり重要なのです。

60兆円もの市場規模を有しながら、『最後の牙城』とまで言われるタイミングまで誰も参入しなかったのは、生鮮食品市場は、いわば『聖域』だからです。
日本でこれだけ成功したコンビニエンスストアは、生鮮野菜や生魚と言った商品を積極的に扱ってこなかった事が、成功の要因とさえ言われています。それだけ、取扱いが難しく、消費者の目が厳しいのです。

近年、国内のEコマース市場は楽天、Amazon、ヤフーの3強でほぼ寡占状態。食品部門はオセロの角を取る如く、一発逆転を秘めた重要な市場だと言えます。その為には、『コンビニでもリスクが高くて扱わない、扱えない生鮮野菜』市場への参入は必然とさえ言えます。
なぜなら、これを取る事による自社サイトへの集客力は絶大で、『ついで買い』だけでもかなりの売上の増加が見込めるからです。

各社の本気の戦いが進行する中、実店舗を持たないAmazonは、それを挽回すべく徹底した品質管理と標準化を進めています。

  • 配送は注文から最短4時間。受け取りは午前8時~夜中12時まで対応。
  • 鮮度を維持する為の徹底したコールド・チェーンの確立(6温度帯倉庫に3温度帯輸送)
  • 商品の6面の方向からの品質チェックの徹底。
  • 適正なピッキング。(重い物は下で柔らかく、傷みやすい商品は上に配置。)

帰宅時間の遅いサラリーマンや、小さい子供の育児に追われる主婦などには有り難いサービスですが、かなりの高コスト体質となり、6000円以上の買い物で無いと送料を取られてしまいます。日々の買い物で6000円以上と言うと、一般家庭にはハードルが高く、纏めて購入すると折角の品質が自宅の冷蔵庫の中で劣化してしまうのです。

そして、何より商品を自分の目で確認出来ない、というデメリットは最後まで付きまといます。個人的には『刺身』などの商品をネットで頼めるか?、と考えた際、少し躊躇してしまいます。であれば、いつも行く『行きつけのスーパー』に買い物代行サービスを依頼する方が、何か安心出来るような気がします。

Amazonは生鮮事業に関しての数字を明らかにはしてませんが、かなり苦戦している模様です。恐らく一度頼んでしまえば、その良さを理解出来ると思うのですが、その”一度目”のハードルを如何に下げられるかがポイントになりそうな気がします。

ただ、結局はAmazonは本国アメリカでも1兆5000億円という巨額投資で、『ホールフーズ』という実店舗の買収に追い込まれました。日本でも近い将来、小売りの買収を仕掛けてくることも十分考えられます。
日本はアメリカと違い生活圏内に小規模なスーパーやコンビニが多く存在しており、気軽に買い物出来ることもEコマースの参入障壁となっています。

こうやって考えて行くとアリババが『フーマ・フレッシュ』で実現しているサービスはつくづく秀逸だと感じます。

本来であれば、小売り業が敬遠する配達を来店客にまで、云わば強引に誘導し、まず体験して貰うという手法は画期的だと言えます。
利用者は、希望するなら直接店舗で商品を確認する事ができ、尚且つ、無料で30分以内に配達して貰える。そうする事で次回からはネットで注文しようとする客が増えて、結果的にボリュームを確保でき、採算性が達成する。非常に合理的なシステムです。

ただ、その為には配達に関わる人件費を吸収できるだけの合理化が必要です。彼らが人工知能やテクノロジーを駆使して、レジの無人化などを計り、本当に必要な所に人員を割り振っている、という事を忘れてはいけないのです。