今、なぜスマホ決済が注目を浴びるのか?

今年、経済産業省が正式にキャッシュレス化の方針を打ち出した事で、Amazon、ヤフー、楽天、LINEなどIT企業を中心にスマホを使用した『QR決済』市場に次々と参入を発表しました。また、メガバンク3行も共同して規格の統一を計る事に同意しメタップス社のシステムの導入を決定しました。

この事は過去、このブログでも何回も取り上げてきましたが、今回は、なぜ今キャッシュレス化がこれ程注目を集めるのか、その背景についてお話したいと思います。

キャッシュレス化が求められる理由としては、実は2つの側面があります。
1つは銀行側の事情と、もう1つはテクノロジー側の要因です。今回は、このお互いの利益が一致した事で、国を挙げての推進が決定されたのです。では、それぞれの事情について個別に見て行きたいと思います

・キャッシュレス化を求める銀行の事情

お金を扱う事が仕事の銀行ですが、近年は『マイナス金利』の導入により経営体質が弱体化しつつあります。

まずは、この『マイナス金利』の簡単な説明をしますと通常、銀行をは金融システムの安定化という観点から預金の中の最低数パーセント以上を日本銀行の当座預金に預けなければならない、というルールが存在します。要はおこずかいを貰った子供が全部使い切らない様に、親が預かっておく、というシステムです。

実は、日銀に預けたこのお金には利子を付けてくれるんです。
ですので、銀行側の収益となるのですが、景気が悪くなってくると日銀は、この金利を下げるばかりか、マイナス、要は預かり賃を払いなさい、と言ってきます。そうすると、銀行は日銀に預けるより企業に貸し付けた方が利益を生むので融資が活発化する訳です。

銀行の体力が衰えると、儲けを増やすために経費を削減しないといけません。そこで、目を付けられたのが、『ATM管理費用』です。
現在、郵貯とコンビニATMを除いて、全国には2万台のATMが存在します。実はこの維持コストが馬鹿になりません。何と1台に付き1000万円/年のコストが掛かってます。ですので、2万台ですと年間2兆円のコストが掛かる訳です。

ちょっとビックリな数字ですけど、ATMを設置するには『家賃』が必要です。地方なら安いですが、銀座の一等地にもATMは存在します。平均となると結構高く付きます。
また、現金の補充なども定期的に必要で、警備会社に依頼して厳重な警備の中行われます。
また、コンビニATMの出現で利用率は年々低下しています。
こうなると、ATMは銀行にとって『お荷物』となります。キャッシュレス化が出来れば、この経費が浮く訳ですから、何とかしたいと思うのも頷けます。

・お金の『データ』が重要な時代に。

ディープラーニングという手法が開発された為、人工知能の可能性が大きく開けてきました。
電子決算の素晴らしいところは、お金に名前が付いている事です。つまり、正確な個人情報と使ったお金が紐づくので、それを分析する事で、年収や社会的地位、また買い物内容から家族構成まで分かります。今までは、この膨大なデータを処理するのにかなりの時間を要してきましたが、人工知能の出現が状況を大きく変えたのです。

お金のデータとは、その人自身のデータとも言えます。その人が、何をいくら買ったか?、どこに移動したか、何を読んで、どんな趣味を持ってるか?様々な事が分かってしまうです。これは、マーケティングにおいては『革命』とも呼べる出来事で、この情報を使えば、企業はかなり正確なアプローチが出来る事がお分かり頂けると思います。

そう考えると、『お金』っていうのはプライバシーそのものと言えるかもしれません。
企業は私達を丸裸の状態にし、それらと引き換えに便利さを提供します。

これが、果たして私達にとって幸せな事かどうかは分かりませんが、『現金』を維持するコストは膨大で、この流れは止めようもありません。
人工知能先進国の中国では、個人の信用力さえもスコアリングされ、そこから階級社会が生まれようとしています。
果たして、お金とは何なのか?もう一度考える時期に来ているのかもしれません。