人工知能と監視社会。

私達の生活を便利にしてくれる人工知能ですが、それを機能させる為に不可欠なのが私達の個人情報である、というお話を以前しましたが、今回は、もう少し深刻なお話です。
それは、私達が常に監視される時代が来るかもしれない、そんなお話です。

現在、ディープラーニングという手法の確立により人工知能は特定の分野においては、人間の能力を超えています。その分野の一つが『画像解析』の技術です。
現在、中国で開発された最新の画像解析の技術は20億人の人間を数秒で特定する事が出来る。中国では実際にこの技術を使用した『天網』という監視システムの導入を急いる。

現在、中国では1億7000万台という数の監視カメラが街中に張り巡らされており、今後3年間で数億台が新たに追加される予定だ。これにより取得された画像は中国政府が保有する18億人分の顔画像データベースと繋がっており、犯罪者や政府にとって必要とされる人物の居場所を数分間で特定出来てしまう。

ここで、勘の良い方は不自然さを感じるかもしれませんが、中国の人口は14億人です。
では残り4億人は?。実は、私たち外国人も中国に入国すると政府のデータベースに顔写真とパスポートの内容が登録されてしまうのです。

非常に薄気味悪い感じがしますが、今の中国の監視システムはここまで発達しています。

こういう話をすると、中国の特異性ばかりが際立ちますが、現実は違います。
この人工知能で人々を監視して犯罪を未然に防ごうという動きは世界中で起こっているのです。
中国と並び、人工知能先進国のアメリカは、SNSを解析して危険人物を特定しようという動きが活発です。アメリカでは、それを専門で行う危機管理会社が存在し、実際に学校と契約する事で、危険を察知してアラートを鳴らすサービスが始まっている。

プライバシーや自己の権利意識の強いアメリカで、このようなサービスが受け入れられるのは、度重なる学校での銃乱射事件の発生です。
実際、実行犯の内数名が犯行前にSNSで事件を匂わす投稿を行っている。

現在、特定の文章を人工知能のアルゴリズムに掛ける事で多くの情報を得る事が出来ます。このシステムは、文章自体の意味を問うものでは無く、名詞・動詞・助詞・接続語などに文章を分解し、その順番や言葉のチョイス、助詞の違いなど、人間が気付かない部分から相手のストレス度や内面性を評価するものです。
日本でも既に企業が採用の際の書類選考や、ストレス度チェックなどに実際に活用されており、今、注目の技術だと言えます。

人工知能の能力が治安の維持に強力な力を発揮する事は疑いありません。
各国とも増え続ける犯罪に対し、負担できるコストには限りがあるのです。
何とも悩ましい問題ですが、長期的な視点で見ると、恐らくそういう方向性に行くのではないかという気はします。
ただ、それで犯罪が無くなるかと言うと、そうでは無く犯罪もより高度化して行く事は確実です。人間とは何とも非効率な生き物です。その労力をまともな方向に使用すれば、もっと多くの物を得られるかもしれないのに…。

結局のところ、人間は自分で自分の首を絞め続ける、そんな生き方しか出来ないのかもしれません。