これは、上記の話とも重なりますが、経営判断の失敗も大きな要因と言えます。
シアーズの会長兼CEOのランパート氏は、ゴールドマン・サックス社を経て、自らのファンドを立ち上げた投資家で、小売業の経験は皆無でした。
彼には『カスタマー・サービス』という概念は無く、いかにコストを掛けずに店舗運営を行うか、という意識しかなかったのです。その為、店舗の清掃などに掛かるメンテナンス費用は削減され、必要な時に店員が捕まらないと言う状況になりました。
百貨店とはそもそも、価格は高くてもきめ細かなサービスで付加価値を提供する物。顧客視点を失った店舗では顧客が離れるのは当然です。
また、もう1件の破綻先であるトイザらスも2005年に行った買収劇が主な原因だと言わざる負えません。
この年に複数の投資会社が構成するプライベート・エクイティ・ファンドにより同社は買収されたのですが、その際LBOという手法が用いられました。この手法は、買収先の資産を担保に資金を調達すると言う、ある意味無茶苦茶な方法です。
(まだ買ってもいない他人の資産を担保にお金を借りる訳です。)
この手法を用いると買収後、その負債が全て買収先企業が負担する為、バランスシートが急激に悪化してしまいます。頭打ちする売り上げの中、支払利息に耐えられなくなった同社は、破綻しました。
これも無能な経営者が招いた人災と言えると思います。