スマホを活用したモバイル注文&決済が世界の潮流に

中国やアメリカで主流となりつつあるスマホを活用した『スマホ注文&決済』が日本の外食産業でも続々とテスト導入されつつあります。
マクドナルドやウェンディーズ、KFC、デニーズなど大手外食チェーン店が採用するこのシステムは、利用者が行列に並ぶという悪い体験から解放してくれます。

アメリカや中国では、既に一般的なシステムとなっている同システムですが、電子決済が遅れる日本では、なかなか浸透しませんでした。今回は国が主導する形で、スマホを活用するQRコード決済が今後拡充する事を睨み、各社体制を整えてきた模様です。

長い行列に並び注文し、出来上がった商品を持ったまま空いた席を探す、ファストフード店やフードコートなどではお馴染みの光景ですが、特に荷物がある際などは、かなり苦痛を伴います。このスマホ注文&決済は、その苦痛から利用者を開放し、時間を有意義に使う事が出来るのです。
また、店舗側にとっても人件費の削減という事だけでなく、売上の増加という意外な恩恵をもたらしました。

元々、中国で普及したこのシステムは2004年にアリババがサービスを開始したスマホ決済アプリ『アリペイ』と、2013年からテンセントが導入した『Wechat Pay』が牽引してきました。
現在では、交通機関から屋台まで、ほぼ全ての業態で使用できるQRコード決済は、お金を持ち歩く習慣自体を変えてしまいました。
(この普及の経緯については過去記事をご覧ください。)

これにより、O2O(オンラインとオフラインの融合)という流れが生まれ、リアルの店舗でインターネットを活用する潮流が生まれたのでした。

企業にとって何より重要なのは、この電子決済で得られたデータです。紙のお金には名前がありませんが、電子決済では個人の属性とお金の動きが手に取るように分かります。この利用者の生活を丸裸にしてしまう驚くべき実態ついては以前書きましたので、そちらを見て頂ければと思います。

・中国、アメリカでは店アプリがマストアイテムに

この外食産業から派生した店アプリはやがて小売業全体に広がって行きます。

特にスーパー業界では早くから活用され、商品棚のバーコードをかざすと価格や産地などの商品情報を見る事が出来る。食の安全が問題となっている中国では食品のトレーサビリティは非常に重視され、無くてはならない機能となっています。
また、店舗内のどこに何があるかもアプリから調べる事ができ、大きなカートを持ったまま店内をウロウロする事は無くなりました。

このアプリはやがて発展し、店に行かなくても商品を注文する事が出来るようになっていきます。
中国のアリババ経営の生鮮スーパー『盒馬鲜生』では店舗の半径3キロ圏であれば、30分以内に無料で配達してくれるサービスまで展開しているのです。

・日々の買い物が快適に

買い物には2種類が存在し、ワクワク感のある物と、単なる『補充』である。
日々のスーパーの買い物は、この『補充』に該当し、出来る事なら楽に済ましたいと思ってる人が多い。

先の中国の例のように完全無料とは行かなくても、その苦痛を和らげる対策は各企業が行っている。

・インスタカートとの提携。

インスタカート社とは、云わば『買い物代行サービス』である。アメリカでは大手小売業の多くが提携を行い、自社の店アプリから直接依頼できる方式を取っている。
買い物代行業というと、何か『便利屋』みたいな印象を受けるかもしれないが、時価総額8500億円にも及ぶ巨大ユニコーン企業なのである。

同社は、利用者の時間を節約したい、もっと楽に買い物をしたい、というニーズと店側の沢山在庫を抱え、少しでも効率よく商品を回転させたい、というニーズを上手くマッチングしたプラットフォームを提供している。
これはウーバーに代表されるシェアエコノミーの買い物版で、隙間時間で有効に仕事がしたいと言うニーズも同時に満たしている。

店により多少の差異はあるが、35ドル以上の買い物で、2時間以内の配達で4ドル、1時間以内の場合は6ドルで自宅まで配達してくれる。

・ピックアップ・ロッカーを利用。

仕事や子育てで買い物に行く時間が無い、という方に便利なのが『ピックアップ・ロッカー』です。
これは、スマホの店アプリを通じて注文した商品を店側が予めピックアップして専用のロッカーに入れておいてくれるサービスです。店によっては24時間商品を取り出せたり、冷蔵・冷凍設備も完備されている為、利用者は仕事終わりや、開いた時間を見計らって商品を受け取る事が出来ます。
ロッカーの開錠は、アプリを通じて店から送られてきた専用バーコードで行います。

・カーブサイド・ピックアップを利用。

こちらは、上記のピックアップ・ロッカーよりお手軽なタイプ。
スマホから店アプリを通じて注文する所までは同じであるが、ピッキングが終わり次第、店が連絡をくれる。連絡があれば、そのまま車で店まで向かい所定の場所に駐車。そうすると専門の係員がやって来て、トランクに商品を入れてくれる。
利用者はクルマから降りる事も無く、買い物を完了出来るのである。

このように、電子決済の普及でお金の受け渡し、という行為が無くなる事で様々なサービスが生まれます。
これらのサービスは日本人の感覚からすれば不精と映るかもしれませんが、日本と異なりアメリカは買い物だけの為に数十キロの道のりをクルマで移動する事も珍しくありません。

その上、商品のサイズも大きく飲料は1ガロン(約3.8リットル)と重さも日本の比ではありません。アメリカでは、買い物自体が重労働なのです。

日本でもようやく動き出した『スマホ決済』ですが、カギとなるのが決済手数料です。クレジットカードが日本であまり受け入れられなかったのは、事業者が信販会社に支払う手数料が3~5%と高く、導入を躊躇したのが普及の妨げとなりました。
今回、クレジットカードがスマホに変わっただけでは同じ結果を招く事は明らかです。

中国で、ここまでスマホ決済が普及したのは、手数料を極限まで下げる事が出来たからに他なりません。その意味で、デビットカード方式の採用がマストだと言えます。