中国Eコマースの大手2社が1日で5兆円売り上げた日

アリババが2.86兆円、JD.comが2.2兆円。
一体、これが何の数字かと言うと中国2大Eコマースサイトの1日の売上額です。

中国には馬鹿みたいに物が売れる日が存在します。
それは、11月11日の『独身の日』。

寂しげに『1』が4つ並ぶこの日を『独身の日』として、自分にプレゼントを!!、とアリババが企画してプロモーションを始めたのは2009年の事。
年々、そのお祭りは過熱し昨年はアリババ単体で2.8兆円の売り上げを達成し、日本のユニクロは、僅か2分で1億円を売り上げるなど、冗談のような話がリアルに起こるのが、この日なんです。

その日が、再び訪れようとしています。。。

このお祭りのような1日も、エンジニアにとっては悪夢の1日と言えます。

なぜなら、注文数だけで8億1200万件が発生しますので、アクセスはその数倍。決済処理に至っては14.8億件がたった1日で行われるのです。

このアクセス数は、もはやサイバーテロと言っても良い位の量で、仮にサーバーがダウンしような物なら1秒ごとに数億円、1日なら数兆円の機会損失が発生してしまいます。

ちなみに日本で言うと、Eコマース首位の『楽天』の年間売上額が3.4兆円程ですから、楽天の年間売り上げの80%が1日に集中する計算になります。
恐らくですが、日本には、このアクセスに対応出来るサーバーは存在しないと思います。

アリババ傘下のオンライン決算会社の『アント・フィナンシャル』は開始10分で、大量の処理が押し寄せ、ピーク時には1秒間で25.6万件の処理を完了したそうです。途方もない数字にただただ驚きですが、同社が開発した、この分散型リレーショナル・データベースは1秒間に4200万件の決済処理が出来るように設計されているそうです

毎年アリババでは、この狂乱の1日に備え、約1カ月前から臨戦態勢が敷かれます。

当日のアクセスは、利用者からの物だけで無く、販売企業、銀行、流通企業との間でも通信が行われています。どの領域に、どれだけの帯域を割くのかを入念に設定・調整を行い最適化を計らなくてはなりません。何度もシュミレーションを繰り返し、時間をかけて検証して行くのです。

徹夜は勿論、数週間会社に泊まり込む人間までおり、社内はまさに修羅場の形相となります。勤務形態が『ブラック』で有名な同社ですが、その分、成果報酬は徹底しており、大きなプロジェクトを成功させた人には、ボーナスや自社株の支給など、通常あり得ない報酬が支払われる。その為、社内には多くの億万長者が存在し、それがモチベーションの源泉となっている。

 この1カ月間、彼らの戦いは続き時計の針が24時を回った時、ようやく安らぎが訪れるのです。
但し、話はここでは終わりません。ここで新たなゴングが鳴るのです。

そう、注文された商品は利用者に送らなければならないのです。

まさに、荷物に人が埋もれる。そんな状況に陥るのは商品の配達を担う物流業者です。

その荷量もさることながら、彼らを悩ませるのは梱包する段ボールが足りない事。毎年5割の勢いで増加する荷物で、段ボールの使用量は増える一方。実に全世界の1/3を中国が使用している状態で、1年間で価格が7割も上がってしまいました。

その上、段ボールを製造する業者に対して環境汚染の観点から政府が規制を設けたため、排水、廃棄に厳しい基準が適応されることになりました。これにより、多くの業者が廃業に追い込まれた事も問題の悪化に拍車を掛けています。

写真をご覧頂ければお分かりだと思いますが、彼らは商品を丁重に扱う事はしません。それでも破損が起きないのは、それを見越して過剰とも言える梱包をしている為。
物流の品質を維持する為には段ボールは欠かせないのです

現在、世界全体で取り扱われる宅は荷物の量は約800億個。そのうち半分が中国で配られています。
その為、宅配企業は中国で急成長しており既に7社が株式上場を果たしています。
しかし、増え続ける荷物に体制が追い付かず、人工知能やドローンなど最先端の技術が必然的に投入される業態であると言えます。

ただ、他国と同様、配達業というのは忙しい割には利益が少ない状態が慢性化しているのも事実です。
年々、利用者の求める質は上がり、時間指定やサービスの向上は求められるが、逆に、それが仇になり罰金制度などにより所得は減る、という悪循環を生み出しているのです。

現在のところは、農村から流入してくる人材の受け皿となっている面もあり、何とか回っていますが、中国の所得水準が上がるにつれ、立ち行かなくなるのは明白です。
既に中国では、ドローンや自動運転カートなどが一部実用化されていますが、テクノロジーの力で解決して行く必要があります。

ただ、このい『独身の日』に見られる他国で類のない過酷な環境が、中国のテクノロジーを発展させる原動力ともなっているのも事実で、私たちは危機感を持つ必要があります。

日本は自動車の分野では、一定の地位を築きましたが、やはりドイツには敵いません。
それは、彼が『アウトバーン』という速度無制限の高速道路を持つ事に原因の一部はあります。その厳しい環境で培われたエンジンや安全性能は、彼らのの技術を1つ上のレベルに押し上げました。

今、人工知能やIoTという分野で同じことが起ころうとしています。『必要は発明の母』と言いますが、環境により技術は鍛えられる、という事を私達は忘れてはいけないのです。