急成長する中国のフードデリバリー市場。

 

中国の国家統計局の発表によると、2017年の中国の外食産業の市場規模は68.5兆円にも及ぶ。これは、前年対比で10.7%増と急激な成長を見せており、外食文化の浸透が見て取れる内容となりました。

元来、中国では女性の社会進出が顕著で、特に都市部では殆どの女性がフルタイムで働いている。
日本では、出産と共に6割の女性が仕事を辞めるが、中国では、出産休暇を終えると、そのまま仕事に戻るのが一般的だと言える。その証拠に、中国の女性の労働参加率は64%で、世界平均の50.3%を大きく上回っている。この専業主婦率の少なさが、外食利用率の高さに影響を与えていると言えます。

このような社会情勢の影響で、中国では飲食業の『デリバリー・サービス』が発達している。日本でもピザなどのファストフードのデリバリーは一般的であるが、中国の『外売ビジネス』の誕生が外食産業を大きく変えたと言えます。
『外売』とは、スマホ・アプリを利用した食品デリバリー業者の事を指します。

通常、個人経営の食堂がデリバリー事業を行う場合、出前専門の人員を確保するのは難しい。
そこで、出前を専門で行う業者が、店に変わって注文を受け、デリバリーを行う仕組みだ。外売業者は店から手数料を取る事で経営を成り立たせている。

利用者は、専用のアプリを用いる事で、様々な食堂やレストランの垣根を越えて、注文を取る事が出来る。
利用者はアプリを立ち上げると、スマホのGPS機能により現在地から出前が可能な店とメニューが表示される。そこから、好きなジャンル、待ち時間、口コミなどを参考にメニューを決めると、スマホでそのまま決済を行う。

つまり発注から決済、デリバリーという全工程をパッケージで提供する仕組みが外売の特徴と言える。

現在、この外売ビジネスは、『美団』、『ウーラマ』、『百度』の3社が主要プレーヤーとして存在し、市場の70%を占めている。その市場規模は2018年には10兆円を超えると言う予測もあり、年20%以上の成長市場となっています

このシステムにより、比較的小規模の飲食店でも、出前による販路拡大が見込める反面、様々な飲食店のメニューが同時に見れる事で、価格競争が激化する、という負の側面も存在します。しかし、外売を利用しなければ、もはや経営が成り立たないと言える程、システムが浸透しており、各店とも、メニューの撮影法などを工夫して、しのぎを削っている。

このように、既に社会のインフラとなりつつある外売ですが、その数が増え続けた事で問題も顕在化しつつあります。とにかく外売業者間の競争は熾烈で、何より重視されるのが『スピード』です。注文を受け付けてから30分以内の配達というプレッシャーが、猛スピードのすり抜けや歩道を走ると言った交通違反を誘発して、事故が頻発するようになったのです。

彼らが、このような無理な運転をするのは利用者の評価制度が原因と言える。通販サイトと同様、利用者はサービス終了後、レビューをするが、ここで低評価を付けられると減点されるルールが存在する。
ルール上2回低評価を付けられると仕事が出来なくなるので、彼らは多少の無理は承知で交通違反をする事が多い。また、利用者も、その制度を逆手にとって理不尽な要求をする事も多く、彼らの仕事をより過酷にしている現実がある。

実際に南京市では、外売のバイク事故が半年で3300件も起こるなど、社会問題化しつつある。

多くの問題をはらんだ外売ビジネスであるが、手っ取り早く仕事を見つけたい農村からの流入者の受け皿となっており、多くの問題が見過ごされている。ただ、このままだと更なる社会不安をもたらす可能性もある為、きちんとした法整備が必要とされています。