Eコマース業者を悩ませる『返品常習者』の存在。

 

Eコマースが実店舗の販売より儲かると思うのは間違いだ。
実のところ、伝統的な小売業を上回る利益率を出している業者は殆ど居ないのである。

もちろん、これには顧客を呼び込む販促コストの問題もあるが、Eコマース業者を悩ませるのは商品の返品率なのである。ある統計に於いては、実に販売した商品の30%が返品されると言う業者も珍しくはない。
ネットの特性上、顧客がイメージした物では無かった、という理由は、ある意味妥当だと言える。業者の方も、その商品が実物以上に素晴らしく見えるよう、様々な工夫をこらしているからだ。

しかし、一部ではあるが返品を前提に注文を行う『返品常習者』が存在するは事実なのである。

返品の文化はEコマースの本場アメリカでは、完全に根付いた商習慣と言える。アメリカではネットだけでなく実店舗でも返品を受け付けるのが普通で、コストコなどの生鮮スーパーでは、半分以上食べてしまった食品でも返品に応じ、全額が戻って来る仕組みがある。

その為、それ以上に返品リスクの高いEコマースが、その商習慣を踏襲するはごく当たり前の事である。しかし問題は、それが経営に大きな影響を与えるレベルまで進行してしまっている現実にある。当たり前だが、実際に店員と対面する事無く返品が出来る仕組みは、返品へのハードルを大きく下げてしまう。

今では、結婚式などの行事の為に服を注文し。終わったら返品する確信犯や、予め複数のサイズの服を注文し、フィットしないものを返品する、という常習犯も多い。
更に最近は、『インスタグラム』の普及により、写真を取る為だけに注文する、というケースが急増している。彼らは、それを頻繁に繰り返す為、『常習者』になり易い。

現在、ある調査によると米国の60%、英国の45%のEコマース業者が、返品を繰り返す顧客に対して無期限の販売停止を考えている、と回答している。(その中にはAmazonも含まれている。)さらに、業者間で『悪質常習者』の情報を共有し、業界として対抗して行こう、と言う考えも多い。

日本では『ZOZO』を始め返品を一切受け付けないEコマース業者も存在する。彼らの言い分は、返品を受け付けると、そのコストは誰かが負担しなければならず、通常それは売値に転嫁されることになる。という物である。これは至極当然で、返品のコストを負担しているのは、実は私たち利用者なのだ。

Eコマースは、今後さらに発展し取扱商品数も増えて行く事が予想される。衣料品や家具、シューズ、装飾品は中でも返品率が高く40%に迫る物まで存在する。そして、一部の業者は返品に掛かる配送料まで負担しているのである。

実際のところ、この返品に掛かるコストを大幅に下げる事が出来なければ、Eコマースの発展と共に問題はどんどん大きくなっていく事は明白である。そして、その不利益のコストは誰かが負担し続けなければならない事を私達は忘れてはならないのである。

ただ一方において、この社会課題の解決に大きなビジネスチャンスが存在するのも確かだ。現在、『HAPPY RETURN』など秀逸なビジネスモデルも存在しており、物流面も含め、まだまだ宝の山と言えるのだ。