一日で16.000社が起業する中国の凄み。

 

過去5年で中国で新設された企業は2161万社。1日当たり16000社、実に5.2秒に1社の割合で会社が起業される計算になる。その殆どが倒産し、本当に強い会社だけが生き残る。今、中国を支える原動力は、この旺盛な起業精神だと言えます。

もちろん、国として創業を支援している面もあるが、一番は個人のリスクテイクの精神、『とにかく、やってみる』という考えが染みついている点にある。
だから、日本人がリスク分析している間に、彼らは既に全力で走り出しているのだ。
このスピード感こそが、中国がアメリカをも凌ぐ強みで、たった2年でユニコーン企業となる事例が続々と登場する要因となっている。

現在、中国にあるユニコーン企業の数は定かでは無い。上場している会社と違い企業価値という客観性が乏しい概念では解釈の違いがどうしても存在する。

アメリカの研究機関の発表では52社となっているが、中国の国家機関である中国科学技術部の発表では164社とアメリカのそれを抜いている。
アメリカの調査機関の発表は、ドル建ての資金を調達した企業に限られている為、元建て資金の企業はカウントされない場合が多い。
公平に見て、ほぼアメリカと変わらない数のユニコーン企業が存在していると見て良いと思う。

※ユニコーン企業とは
企業評価額が10億ドルの未上場企業で、創立10年以内の企業を指す。
上場を果たしたり、10年を超えると外れる。
(因みに日本はメルカリが上場した為、現在は0社)

・際立つ成長スピード

中国のユニコーン企業の特徴は、その成長スピードにある。
アメリカの、それが約7年掛けてユニコーンとなるのに対し、中国は半分の3年前後で到達している場合が多い。

短期間で成功した企業の経営者が、エンジェル投資家となり、スタートアップの企業に投資する、という好循環が、今の中国の発展を支えていると言っても過言では無い。

・豊富な資金

なぜ、中国にこれ程ベンチャー企業が多いのか。それは人口が多いと言う理由以外に、資金が集まり易いという側面も否定できない。今やその額は10兆円近くまで成長し、アメリカに肉薄している。その資金源は3つに大別出来る。

・エンジェル投資家
・ベンチャーキャピタル(VC)
・スタートアップ出身の上場企業

上の表は、米中と日本を比較したものであるが、日本と比べると実に30~50倍の差が生まれている。
また、中国の場合、政府部門が大きな役割を果たしているのも特徴で、国や地方時自体が直接投資したり、年金基金などが投資出来るよう法整備をしたりと、国が率先して起業を奨励しているのである。

アメリカと比較した場合の特徴として、スタートアップ出身の上場企業からの資金流入が目立っている。BAT(バイドゥ、アリババ、テンセント)のプレゼンスが非常に高く、特にアリババ、テンセントが競うように新興企業に投資しており、成功しているベンチャーには、どちらかの企業の資本が入っている、云わば彼らの草刈り場と化している、とも言えるのである。

・豊富な人材

当初は、海外からの留学生の帰国組が起業家の多くを占めていたが、最近は国内の大卒者や成功したベンチャー企業出身者が起業するケースが増えつつある。

現在、ユニコーン企業の8割は北京、上海、杭州。深センの4都市に集中している。
特に北京市は『中国の頭脳』と言われ、スタートアップの40%以上が本社を設ける。
清華大学、北京大学、北京理工大学と言った名門校が存在し、理工系の優秀な学生が調達し易い土壌が存在するのも大きい。
また、バイドゥ、シャオミ、JD.COM、DiDiなどの成功したベンチャー企業の本社も多く、そこから独立した人間の起業も目立っている。

また、深センはハードウェアの企業や工場が多く、この分野では非常に強みを持っている。優秀な人材や工場が集積している為、通常6週間掛かる試作品の製造が2日で済むなど、独自のネットワークを築いているのである。この地に本社を置く企業は、テンセント、ファーウェイ、ZTE、BYDなどで、ハードウェア系の人材が多く存在するのが特徴と言える。

このように、スタートアップ企業が集積して存在する事で、投資家にとっては、早いフェーズで将来のユニコーンと関われる機会を得やすいという状況が存在するのである。

・新興市場の創設が課題か…

中国の素晴らしい所は、

・業界を牛耳るような古い企業が存在しない為、参入障壁が無い。
・法律が未整備な為、国が無駄な規制をせず自由にやらす風潮がある。

と言った事が挙げられる。

しかし、一方に於いて経済の基盤である株式市場には不備が多い。
実際、中国の株式市場は、赤字上場が出来ないなど様々な制約が存在する。その為、多くのベンチャー企業が海外での上場で資金調達を行っている現状が存在する。

・アリババ  NYSE
・テンセント  香港
・バイドゥ  NASDAQ
・JD.COM   NASDAQ

現在、中国を代表するIT企業4社は今日現在、中国国内では上場していない。ユニコーンまで支援する体制はあるが、その先がないのだ。その為、中国の株式市場の7割近くが製造業で、IT関連企業は200社も存在しない。
現在、中国の経済を支えているのは紛れもなくIT企業であり、その歪みは早期に是正する必要がある。なぜならこの先、米中の関係性が悪くなると、資金調達にも影響しかねないからである。

インターネット企業は、創業初期に、継続的、大量の投資が必要になる場合が多い。
今は、そのニーズに国内市場が十分に応えられていない。リスクと収益性が不透明なネット企業は、国有銀行の融資とは親和性が低いのだ。その為、外資の資金力に依存する関係はアリババとソフトバンクの関係性を見ても明らかである。
ここを解決しない限り、企業の安定した成長は望めないと言える。上場基準を緩和したした新興市場の存在こそが、今、最も重要なのです。