中国で発展するシェア・リングエコノミーと、その課題。

シェア・ビジネスと言うと、Uberなどに代表されるライドシェアを想像する人が多いでしょう。
中国でも、数々のライドシェア企業が生まれ競争と合併を繰り返した後、現在は滴適出行が市場の75%を占有するに至っています。最近は契約ドライバーのレイプ問題など、数々のトラブルを抱えていますが、既に無くてはならないサービスとなっています。

実際に中国に行った事がある方なら分かると思うが、どんな都会でも今やアプリ無しでタクシーを捕まえるのは至難の業だと言える。手を挙げた位では、タクシーは止まってくれないのだ。もはやタクシーは、アプリで捕まえるのが当たり前、事業者、利用者共に意識はそうなりつつある。

個人的に非常に有り難いのは、言葉が通じないと言うストレスから解放される事。基本的に、アメリカや中国と言う中華思想を持った国の人間は外国語を理解しようとしない。なので、中国に行くと、こちらが話せないのを分かっていても、相手はひたすら中国語を話そうとする。アプリでは、行き先を入力しておけば、最低限の事は伝わるので、移動にストレスを感じなくなった。

さらに、ライドシェアは将来の自動運転時代のプラットフォームになると期待されており、ソフトバンクを始め、様々な企業が出資をしている。人工知能全盛の時代には、この人の移動に関する『ビックデータ』というのは、非常に価値を持ち、様々な用途に使用出来ると期待されているのである。

このライドシェアの代表されるシェアリング・エコノミーは中国で急速に発展しており、現在の市場規模は83兆円にも達し、これは中国のGDPの6%に匹敵する。

次に爆発的に普及したのが、シェア・サイクリング、つまり自転車のシェアです。

安い所だと1時間8円位で借りられる気軽さと、何処に乗り捨てても良い、という利便性が受けて、瞬く間に中国全土に広がった。多い時には100社以上が参入したが、現在は、2社位に集約されつつある。大手は、既に1日で数億円の収益を上げているのだ。

始まったのは確か2016年位だったと思うが、その後、中国を訪れるたびに台数が急激に増加し、そのスピード感には驚かされた。

とにかく、利用者にとって簡単に使える設計になってる事が素晴らしい。
自転車にはGPSが搭載されており、利用者はアプリを開くと近くにある自転車の位置を把握出来る。自転車を見つけると、スマホで開錠して、代金は電子決済で自動で精算出来る。今や、中国社会では無くてはならないインフラになりつつある。

ただ、問題は各社がシェアを獲得しようと採算度外視の投資を行った事。結果、現在までに都市部を中心に2500万台の自転車が投入された。この初期投資の多さが各社の採算性を急激に悪化させ、一部シンガポールなどでは黒字化されているものの、現状、多くの会社が赤字体質に苦しんでいる。

また、数が増えると扱いが雑になるのは人間の性で、故障や投棄などが増え、修理が追い付かない状態になりつつある。また、計算では月に100億円以上のキャッシュが流出している計算で、かなり高コスト体質な経営に陥って行ってしまっている。

最近の、シェア・エコノミーのトレンドは、『カーシェア』です。中国では、環境に配慮してナンバープレートの交付に制限を加えている。例外として、EV車には優先してナンバーが交付される為、EV車のカーシェア・ビジネスが急速に普及している。

但し、このビジネスは初期投資が大きいのが特徴で、体力の無い中小の業者は既に淘汰が始まっている。実は、運用コストも意外と高く、車体で160万円位の車両でも、駐車料、メンテナンス費用、ガソリン代、保険費用などで、諸々年間26万円位掛かる。

その為、如何に効率的に運用するかがカギになる。しかし、需要を喚起するには、いつでも使える状態が必要で、大量に車両を投入する必要がある。事業者にとって、コレは悩ましい問題だ。
シェアビジネスは、投資を回収するまでに結構な時間を要してしまいます。まずは、需要を作り出す事が重要で、回収はその後になる為です。

各社、初めて見たは良いが資金調達に苦労して、爆発的な普及には至ってないのが現状だ。

また、これには充電スタンドや駐車場の整備と言った行政の助けが必要な為、そこも事業を難しくさせている要因となっています。

また、事業者を不安にさせるのは、中国人のモラルに関してである。シェア自転車の際は大量の自転車が投棄され社会問題となりましたが、EV車でも同様の事案が起こるのではないかという不安です。自転車とクルマでは価格が違う為、1台投棄されるだけでも、経営にとって不安要素となります。実は、最近そのような事例が現実に起こりつつあり、各社、どこまでリスクを織り込めば良いのか、頭を悩ませています。

現在、様々なシェアビジネスが中国で展開されていますが、人々のモラルの壁に阻まれている印象が有ります

『カネを撒けば、バカを収穫する。』

辛辣な言葉ですが、的を得ています。日本でも、バブル時代をご存知の方は、国中に、そうゆう人が溢れていた時代があった事を記憶されてると思います。
ただ、経済が発展し、中産階級が形成されてくるとモラルは向上します。中国は今、その途上にあるのです。
そのことで、安易にこの国を否定するのではなく、彼らから学べることは非常に多い事を認識すべきです。

中国は、私達が古いイメージに縛られている間に、急速な発展を遂げています。
確かに、彼らは政治、社会、財政と様々な問題を抱えています。ただ、それらを内包する形で前に進む強さも持っているのです。

まずは、中国に行って、その現実を自分の目で体感する必要があります。
そうしないと、本当の意味の危機感は生まれないでしょう。