米国のショッピング・モール閉鎖が止まらない。

スイスの大手金融機関クレディスイスが発表したレポートによると、今後5年間でアメリカにあるショッピング・モールの1/4に当たる8600件が閉鎖に追い込まれると予想しています。
原因とされているのは、Amazonに代表されるEコマースの台頭で、特にショッピング・モールの核となるアパレル関係の需要がネットに流れているのが問題視されています。

米国でのショッピング・モールは明らかに供給過剰でした。
そこにEコマースの台頭が重なり自然淘汰が始まりました。今日、アパレル関係のEコマース比率は17%に及び、有名アパレル・ブランドを核店舗としてきたモールが重大な影響を受けるに至りました。

アメリカのショッピング・モールの歴史は古く、1922年まで遡ります。戦後、全米でモータリゼーションの波が押し寄せると、自動車は本格的な普及を見せ、郊外型のショッピング・モールが造られるようになります。現在のような、集合型のモールは、1956年にミネアポリスに出来た物が始めで、以後、同じような形態のモールが全米に展開されるようになります。

この携帯は、単に買い物だけでなく、アトラクションやイベントスペース、フードコート、そして、最近では映画館など、娯楽としての性格が強いものでした。
全米に同じようなモールが作られだすと、ついには10万件を超えるようになり、モール間の差別化を表現するのが難しくなってきます。
そして2000年以降、ついにAmazonの台頭が始まったのでした。

それからは、小売業の淘汰が始まります。最近ではシアーズやトイザらスの倒産が話題になりましたが、自らの経営の不味さも相まって、小売業が続々と倒産すると言う出来事が起こりました。実に2017年だけで、19もの大手リテール・チェーンが倒産に追い込まれ、2018年になっても、その流れは変わりませんでした。
そもそも、多くの小売りチェーンは様々な投資ファンドが無理な買収を続けた事で、大量の負債を抱えていました。これは、買収の手段として一時期持てはやされてたLBOという手法が関係しています。この買収先の企業の資産を担保に買収資金を調達する方法は、急激にバランス・シートを悪化させてしまいます。

このような、集客の核となる店舗の撤退は急速にモールの価値を引き下げます。また、多くのアパレル系ディスカウント店がモール外に店舗を作ったのも、大きな影響を与えました。

今回の、米国でのショッピング・モールの衰退は過剰供給と無理な買収劇を繰り返した金融部門の人災と言う側面は否定出来ません。
事実、日本ではイオン・モールなどは最高益を更新しており、非常に元気だと言えます。
しかし、一方に於いて、このまま安泰かと言うと、そうではありません。Eコマース比率は、まだまだ上昇しますし、高齢化社会においては、郊外型の大型店より、都市型の小型店の方が有利です。なぜなら、高齢者は広い店内をウロウロするよりかは、小さい店舗で効率的に買い物をしたいと考えるからです。

この先、小売業の形態は大きく変わって行くと思われます。商品量と効率ではネットには敵いませんので、新しい価値観を打ち出して行く必要があります。
それは、ネットでは体験出来ないコミュニティとしての機能であったり、人間性の部分だと言えます。
ただ、言える事は、巷で言われている以上に店頭は強いという事。
買い物のワクワク感という部分と、単なる『補充』としての買い物。ここは明確に区別して戦略を練る必要があるのです。