ウォルマートのレジ待ち時間の短縮への取組み。


重い荷物を持ってレジの長い列に並ぶ行為は、利用者にとってストレスを感じさせる大きな要因です。日本でも、セルフレジや自動精算機でレジ時間の短縮を図る取り組みは良く見られますが、夕方などは、未だ長い列に出くわす事が多いと言えます。

レジ応援なども、列が出来てから放送で応援を要請する、という流れが殆どで、対応が、後手後手に廻っている印象は拭えません。

今回、米国ウォルマートで試験的に取り入れられたシステムは、『チェックアウト・ウィズ・ミー』。これは、売り場に、クレジットカード読み取り端末を携帯した係員を配置して、商品の決済をその場で行えるシステムです。


この制度は、園芸用品など大きくて重い商品を取り扱う部署に重点的に配置されており、利用者は欲しい商品が見つかると、近くの黄色いタスキをした係員に声を掛ける。そうすると係員は商品のバーコードを読み取り、その場でクレジットカード決済をしてくれる。係員は携帯式のプリンターも持っており、領収書を発行後、レジを通らず、そのまま店を後に出来る。

このように、ウォルマートは近年、顧客の購買スピードを上げる取り組みをたて続けに実施している。2016年には、『ウォルマート・ペイ』というスマホ決済システムを全店に導入している。これにより、予めアプリにクレジットカード情報を登録しておくことで、支払いの簡素化を図ると同時に、顧客の購買情報も体系的に管理できる為、マーケティングの精度向上に役立っているのである。


また、日本でもぜひ取り入れて欲しいシステムとして店舗マップ機能がある。

現在、アメリカの大手小売店は自社アプリを持つことが当然、と言われるまで普及しているが、ウォルマートでは、このアプリが店内に入ると自動的に店内地図へと変わる。これは、GPS機能を応用したシステムで、利用者は地図アプリに欲しい商品名や、カテゴリーを入力する事で、売り場位置を教えてくれる。

日本のイオンなどのモール系スーパーは、利用者からすると何が何処にあるのか非常に分かり難い。確かに案内所も存在するが、大体は1階に存在する為、一々戻らないといけないのだ。正直、これは本当に煩わしい。

確かに、以前の経営学の教科書などを見ると、顧客の店内での滞留時間と購買額は比例する為、いかに滞留時間を長くするか、という事が重要という考えがありました。しかし、ネット全盛時代の現代では、不便さは『悪』なのです。


現在の小売業での世界的な流れは、便利さの追求です。利用者は、不便さを感じると、すぐにネットに流れてしまうのです。

ウォルマートでは、利用者がスマホアプリを片手に買い物している姿を良く見ます。そこで、お買い得情報などをチェックしながら効率的に買い物をするのです。

日本では、Eコマースとリアル店舗の融合こそがオムニチャンネルという考えが大勢を占めています。しかし、これはAmazonなどEコマース側が決めたルールに他なりません。彼らの土俵で戦う事はリアル店舗が絶対にやってはならない事です。

リアル店舗は、まず店頭と言う自分の『強み』を、ネットの力を融合して、いかに磨きを掛けるか、という思考が重要になってきます。
顧客が、いかに効率的に買い物が出来るか、それを補うツールがネットであるという認識を忘れると、結局はEコマース企業の後追いになってしまうのです。

日本の小売業の多くは、まだネットを有効に活用できているとは言えません。それは、技術に拘るあまり、手段ばかりに目が行き、目的を上手く捉えられていない為です。
最近はイオンモールなどの代表されるような巨大モールが全国に次々と開店しています。しかし、現在の米国でのモールの衰退を見れば分かるように、今のショッピングモールは顧客の要望を満たしているとは言えません。この手のビジネスモデルは、大きくすればするほど、その特色を打ち出すのは難しくなります。全ての店舗を埋めるには、様々な業態を呼び込まなくてはならないからです。特色を無くしたモールは、コモディティ化が進み、やがて衰退します。

個人的には、今の小売業はアメリカと同じ道を歩むのではないかと危惧しています。
実際、イオンなどは、本業の食品部門は慢性的な赤字体質で、金融や家賃収入で稼いでいるのが現実です。利用者目線で言うと、イオンはスーパーとしては、安くも無いし、特に総菜関係の品質の不安定さ、商品開発力の弱さが目立ちます。大手としてのスケールメリットや商品開発力の強みを生かし切っていないのです。まずは、立ち止まって、そこを改善して行くべきだと思います。
基本的に、いくら利益を上げていたとしても本業の弱い企業は発展しません。

今、アメリカで起こっている小売業の危機は対岸の火事ではありません。それは単に、『Amazon脅威論』という言葉で現わせる物ではなく、利用者のニーズを掴み切れていない事に、その原因は有ります。
Eコマースが商品を自宅まで配達してくれてるから買うのではなく、店舗に無いから買うのです。その事を、今一度認識しておく必要があるのではないでしょうか。