敢えてスマホで稼がない戦略!?、シャオミが目指すものとは?

中国の新興スマートフォンメーカーで、一躍脚光を浴びたシャオミ。
しかし、2015年に急減速した後は、OPPO、Vivoと言った後発メーカーにより後塵を拝した。それから3年でシャオミは劇的な復活劇を果たし、再度、市場の主要プレイヤーへと昇り詰めたのである。
彼らの持つ独自の経営戦略は、『スマホでの利益率を5%以内に収める事』。つまり、スマホメーカーでありながら、スマホで儲けない事を戦略に据えたのです。

2010年、中国北京で雷軍氏により創業されたシャオミは、ハイエンドのスマホを年間1種類に限定して製造する事で、製造単価を抑え安価に販売する、という独自の経営戦略で、急激に成長しました。
2014年には、それまで国内トップシェアを誇っていたアップル社のiPhoneを抑え、世界シェア3位の座を獲得したのでした。
彼らが、これほどまでの急成長を成し得たのは、自社でコミュニティ・サイトを設置し『口コミ』でのプロモーションを重視した点にあります。これにより広告宣伝費を抑える事ができ、強烈な価格競争力を手に入れたのです。

しかし、この急速な成長は同社のサプライチェーンに大きな打撃を与えてしまいます。伸び続ける販売量に生産が追い付かなくなってしまったのです。
この機を見逃さなかったのが、OPPOやVivoと言った新興メーカーでした。彼らの戦略は、まさに『模倣』でした。彼らは、シャオミの失敗からいち早く学びを得る事により、シャオミを抜き去ってしまったのである。
では、シャオミはなぜ3年で再び復活を成し得たのか?

それは、シャオミは発想を転換したのだ。具体的には、今まで1年1機種というやり方を捨て、ハイエンド機を中心に年間数機種を市場に投入したのです。これにより、安価であるがプレミアムな性能という企業イメージに植え付けに成功した同社は、僅か3年で復活を果たしたのである。

世界的スマホメーカーという地位に返り咲いた同社であるが、収益構造を見てみると、実は、特定の分野に拘りを見る事は出来ない。

・シャオミの4つの事業領域

  • スマートフォン   65%
  • IoTとライフスタイル   25%
  • 広告・オンラインゲーム    9%
  • その他    1%

同社が開示した資料によると、スマホの売上が全体の65%を占めています。

本国の中国では4位のシェアとなっていますが、人口1位のインドでは業界2位(106%増)、人口4位のインドネシアでは国内シェア4位(282%増)と、市場規模の大きな国を中心にシェアを拡大しているのが分かります。
ただ、利益率を見てみると、スマホを含めたハードウェア事業が7%なのに対し、ITサービス事業は62%、特に広告関連は80%を超える高粗利を維持しています。

実は、これこそが重要なポイントで、シャオミはスマホや、IoT家電をプラットフォームと捉え、それらを安価に提供し、それに付随するサービスで儲ける、という戦略を進めているのです。

雷軍CEOが進めるのはシャオミの経済圏の拡大です。
自社のプラットフォームで生活に関わるあらゆるモノに接続。そこから得られるビックデータを解析する事で、様々なサービスを提供して行こう、という戦略です。その為の『手段』がスマホを含めたIoT家電という位置付けになるのです。これらの販売の拡大は『経済圏の拡大』を意味します。

このような事実を踏まえると、シャオミは製造業か、サービス業か?という議論は意味を成さない事が分かります。ネットワーク時代には、20世紀型の古い産業区分は正確に企業の実態を反映させるには不十分なものとなりつつあります。

日本で、この『情報』の価値を見定め、明確な意思を持って対応する企業は、大手ではソフトバンクグループを含め数社しか思い当たりません。人工知能は、日々急速な進歩を成していますが、何より重要なのが、ビックデータを得る為のプラットフォームなのです。
日本は、この分野においても大きく遅れをとっていますが、シャオミの例を挙げるまでも無く、長期的視野に立った事業戦略の重要性をを認識する必要があると言えます。