キャッシュレス時代に消えゆく仕事達…。


今や14%の人間が財布を持ち歩かなくなったという中国では、キャッシュレス化により様々な仕事が消えつつあります。分かりやすい物から意外な職業まで、私たちの社会が大きく変わっている状況をお伝えしたいと思います。

昨年、中国である事件がマスコミを賑わせました。地方出身者のある男性が、生活に困窮しコンビニ強盗を働いたのです。しかし、スマホ決済が浸透する中国では店舗にお金はありません。困った強盗は、4店ものコンビニをハシゴし強盗を働いた末に逮捕されました。結局、彼は4件もの強盗を働いたにも関わらず、十分な現金を得る事が出来なかった事が、キャッシュレス化の象徴としてコミカルに放映されたのでした。

しかし、現金が無くなる事で失業するのは泥棒だけでは無さそうです。私達自身を含め、様々な人間が影響を受けると予想されます。

・中国5大銀行がリストラを加速。

昨年、中国の5大銀行である、中国工商銀行・中国銀行・中国農業銀行・中国交通銀行・中国建設銀行は、合わせて27000人の行員をリストラしました。この流れは日本でも同様で、日本のメガ銀行も合わせて3万5000人近いリストラ計画を発表しています。

近年、中国ではアント・フィナンシャルに代表されるフィンテック企業が台頭し、伝統的な金融業に大きな影響を与えています。

彼らのサービスでは、スマホから預金・決済・融資まで数分で完結し、審査には1秒、それに従事する行員は0人という状況を作り出している。それは、過去の信用実績を人工知能を活用する事で実現しており、人間が介在する必要が無くなったのです。

このような状況では、銀行は支店・行員・ATMと言った且つてのモデルは踏襲する必要は無く、不要な物となりつつある。

・クレジットカード会社の消滅。

中国では『アリペイ』と『Wechatペイ』という決済アプリが広く普及しているが、他国のキャッシュレス化とは、少々現状が異なります。

欧米でのキャッシュレス化はクレジットカードや、それに紐付けされたスマホ決済の方式が一般的であると言えます。しかし、この方式だと信販会社が間に介在してしまう為、3~5%の決済手数料が必要になって来る。

中国で、ここまでスマホ決済が浸透したのは、この決済手数料をゼロにしてハードルを極限まで下げた事が要因と言える。
その為、中国では、日本のsuicaのように、現金をチャージするデビットカード方式が一般的なのである。
この方式では、ユーザーと店舗の直接取引を可能にする。つまり信販会社の『中抜き』が行われるのだ。

その上、この取引情報の蓄積から信用情報を生成し、アリペイやWechatペイ自身が、融資機能や分割払いのサービスを提供してしまうのである。

このことから、信販会社にとってスマホ決済の普及は死活問題に成りかねないと言えます。

・金融・税金・会計などの専門家も安泰ではない。

『アリペイ』などでは、お金をチャージしておくだけで実に年利4%もの利息が付く。ここれは、その資金をアリババ優良な国債や社債で運用し、投資信託のような機能を提供しているからである。利用者としては、銀行の口座に資金を入れておくより断然有利と言える。これなら自身で株投資を行うより簡単だし、リスクも少ない。このように証券業界などへの影響は少なからず存在する。

また、会計士や税理士の仕事も安泰ではない。このように一定の法則性や過去の事例を持ってデータを整理するような作業は、人工知能やRPAが最も得意とする分野である。キャッシュレス化によりデータ上の整理だけで済むようになると、自動化の対象に成りやすい。

逆に、AIが苦手、もしくは親和性が低いとされるのが、人間の感情や感性が重要視される仕事だ。『看護師』などは、まさにそれに該当するが、ある一定の知識や能力を必要としながらも、人間性を要求される・人の心や感性に寄り添う職業は、これに当てはまる。

・キャッシュレス化により進む無人ビジネス

現在、中国では無人コンビニを始め、レストラン・ガソリンスタンド・スポーツジム・スーパーなど、小売りやサービスの分野で次々と無人店舗が開発されている。もちろん、これにより、それに従事する全ての人が職を失う訳では無いが、一定の合理化が進展する事は疑い無いと言える。

こうやって見て行くと、現金制度を維持する為には、多くのコストが掛かっていた、という当たり前の事実に気付かされます。
中でも銀行にとって負担が重いのはATMの存在だ。利用者にとっては便利な機器であるが、銀行協会の発表によると1台当たりの年間維持費は1千万円にも及ぶ。これは家賃は勿論、警備会社に委託している現金輸送のコストが膨大な為だ。

私の若い頃は、銀行に就職出来れば、一生安泰と言う風潮で現金が無くなる世界が来るなんて思いもしませんでした。
しかし現在、デンマークでは既に造幣局を閉鎖し、2030年には、紙のお金自体を廃止する事を正式に決定しました。お金が本当に『単なる紙切れ』になる時代が目前に迫っているのです。

これは、単に紙のお金が無くなり電子化される、という単純な話ではありません。現金と一緒に多くの仕事が無くなる事を意味するのです。その事を踏まえ、私達は将来に備える必要があるのです

(2015年野村総研発表の人工知能で消える可能性が高い100の職業→こちら