驚愕の機能。独自の進化を遂げる中国の地図アプリ。

地図アプリと言うと、私達が連想するのはグーグル・マップだろう。
最近では、精度が上がった事により、カーナビの代わりに使用する利用者も多く、常に最新の情報が得られる便利なツールだと言える。

しかし、中国では地図アプリが独自の進化を遂げ、既に生活のプラットフォームと成りつつある。今回は、その実情を見て行きたいと思う。

中国では、アリババ系の『高徳地図』と、バイドゥの『百度地図』が激しいシェア争いを行っている。そして最近では、そこにテンセント地図が参入し、三つ巴の戦いになりつつある。各社が、これだけ熱心なのは、マップアプリから得られる『人の移動データ』が収集出来る為である。
現在のところ、アリババの高徳地図が頭一つ抜き出た状態で、多くの利用者の支持を得ているのである。

・移動のプラットフォームに進化した地図アプリ

中国では、様々なシェアビジネスが展開されている。
ライドシェアのDiDiや、自転車のシェアビジネスを展開するofoやMobike、さらには、公共交通機関である電車やバスなど移動の選択肢は、多数存在する。厄介なのは、それらの利用に対し各社の専用アプリを見ないといけない点にある。

しかし、高徳地図のアプリを立ち上げれば、その全てを一度にチェック出来てしまうのだ。

まず、外出の際に高徳地図のアプリを立ち上げ目的地を指定する。
すると、地図が表示されると同時に、右上に、『公共バス』『タクシー』『徒歩』『シェア自転車』、というボタンが登場する。まず、試しに『公共バス』のボタンを押してみると、近くのバス停からの路線図、いま、目的のバスが、どこを走っていて、何分後にバス停に到着するのかが見て取れる。

運悪く、バスが直ぐに来ない時は、タクシーを探してみよう。
タクシーボタンを押すと、タクシー会社3社の、それぞれの目的地までの値段と、タクシーが今どこに居て、何分で現在地に到着するかまで分かり、アプリで予約・決済まで出来てしまう。

さらに凄いのが、人工知能を活用して、渋滞などの交通情報を加味した時間を教えてくれるのだ。

さらに、『シェア自転車』を選択するとGPS機能により、近くの自転車の場所と所要時間を教えてくれる。

このように、地図アプリは単に現在地を教えてくれるだけの物とは違い、交通手段のプラットフォームとして、それぞれを繋ぐ重要な役割を果たしているのである。

さらに最近は、AR(拡張現実)機能を用いて、カーナビとの連動も進んでいる。

・AR機能を用いたカーナビ活用

最近では、日本でもグーグルマップを用いたカーナビ製品も多く存在する。
刻々と変わる地図情報を随時アップデートするグーグルマップは、従来のナビより使い勝手が良いからだ。

しかし、中国はさらに進化した活用が成されている。
それが、車載カメラと組み合わせたAR機能である。これは、撮影された道路映像から、道路の幅、車線だけでなく他の車両なども画像解析して、ナビゲーションルートは緑の線で表示される。また、同時に周囲のクルマとの距離なども表示し、ドライバーに注意喚起を行うのである。

従来のナビでは、複雑な道路状況の際、ドライバーが正確な情報を理解するのに一定の時間を要していた。しかし、現実の画像に合わせてオーバーラップ表示をする事で、視覚的に理解し易いと言える。

また、さらに周囲のクルマとの車間距離だけでなく、他のクルマの挙動も解析して、危険運転車両を見つけ出した場合は警告を発してくれる。

中国での地図アプリの状況を見ていると、明らかに進んでいる事が分かります。
これに比べると日本のカーナビなどは、操作性が悪く、地図も見ずらい。そして、何より地図のアップデートが面倒で使用を躊躇う事が多いと言えます。

一方、中国では人工知能やARと言った最新のテクノロジーを組み合わせ、まさに痒い所に手が届くような機能が満載されています。本来、このようなサービスは日本の十八番芸でしたが、ガラパゴスな印象を拭えない状況になっているのです。

現在、多くのクルマに搭載されているETCも、本来であれば十分スマホで運用可能です。なのに、高速道路の支払いしか出来ない不要なデバイスに2万円近い費用を、しかも利用者が負担して装備しなければならない状況も、役所のエゴを感じずにはいられません。

中国は今、国を挙げて人工知能やスマート決済を進めており、世界で初めて現金を使用しない国へと移り変わる可能性を秘めています。そのような状況を考えると、日本の行く末が不安でなりません。そこには、国家としての明確なビジョンが無いのです。それは、役所間の縦割り行政であったり、アナログな仕事の仕組みなどが蔓延し、閉塞感だけが漂う、そんな状況は早急に打破されなければならないのです。

これは、企業に関しても同様で、リーダーの高齢化により、テクノロジーを理解する人間が不足していると言う問題があります。それは、古い人間が上に居座り新陳代謝が進まない日本の状況を表しています。今こそ、若い人間が十分に実力を発揮出来る、そんな組織の形成が急務なのです。