社内で100組以上が合同結婚式!? アリババを支える超家族的経営とは?

社内の合同結婚式で神父に扮したジャック・マー氏。

中国を代表するIT企業の『アリババ』は、勤務形態を見る限り世界でも有数のブラック企業だと言える。アリババ社員は兎に角、猛烈に働く。毎日、定時で帰る社員は、ほぼ存在せず、多くの社員が22時以降、または、日を跨ぐことも珍しくない。特に『独身の日』などのイベントがある時期は、社内に多数のテントが設置され、数週間も自宅に帰らず、泊まり込んで仕事をする猛者まで存在する。

では、彼らはなぜ、そこまで猛烈に働くのか?
まず、押さえておかないといけない点は、中国の企業文化と言うのは2つのパターンが存在する。それは、アメリカ型と日本型である。

アメリカ型・・・自己責任型企業文化
日本型  ・・・家族的経営

これは、創業者のバックボーンによるところが大きいと言える。
バイドゥやDiDiなど海外留学組、それに、欧米系の企業での就職経験のあるシャオミなどは、欧米型の企業文化を採用しているところが多いのに対し、アリババやテンセント、京東などは、創業者に留学経験が無い。その為、両者の企業文化は大きく異なり、『中国の企業』というステレオタイプな分類は困難だと言えるのである。

アリババの企業文化は、まさに高度経済成長時代の日本企業を彷彿とさせる。
福利厚生を手厚くするだけでなく、社内で出会いの場を供給して社内結婚を奨励、何と社内で合同結婚式まで開催し、今年は何と102組が結婚している。

アリババが社内結婚に拘るのは、アリババの業務が複雑で残業のが多い、という『特異性』によるところが大きい。このような仕事環境では、外部の人間と結婚すると関係を維持して行くのが非常に難しいのである。
また、日本では結婚を期に退職してしまう女性が一定数存在するが、中国では、共働きが普通で、専業主婦と言う立場の女性が極めて少ない。これは、毛沢東時代に、女性も労働を強制され、家庭に入るという事を許されなかった歴史的側面が大きい。

・充実した福利厚生

アリババ創業者のジャック・マー氏が、『他社が4倍の給与を出しても、アリババ社員を引き抜く事は出来ない。』と豪語する程、アリババの福利厚生制度は充実している。

まず、月収は研修期間が終わり一人前の仕事が出来るようになると、34万円が与えられる。中国のホワイトカラーの月収平均が12万円であることを考えると、約3倍の金額である。ただ、それだけでなく、ボーナスや自社株の購入権なども設定され、給与以外で年間数千万円を支給される社員も珍しくない。このような環境だと、社内で次々と億万長者が発生し、社内のモチベーションとなっている。

日本との違いとしては、みんなが進んで残業を行う点がある。
日本と違いアリババでは、残業代は青天井で支給される。その為、社内で勉強する人も多く、自発的な勉強会などが自然発生する事も、社員レベルの向上に役立っているのである。

このような制度だと、意味なく残業する人が増えるのではないかと懸念するが、それ程甘くは無く年一回の面談で考課され、仕事の成果に残業時間が多過ぎると判断されると、給与のベースが引き下げられる。

とにかく、アリババでは成長のスピードが重視され、要求レベルに達していなければ社内に残る事は出来ない。その一方、頑張る人間には手厚い福利厚生を与える、というシステムであると言える。
その為、社内にはホテル並みの食事を低価格で提供する社員食堂や、スポーツジムまで存在する。

また、中国では近年地価の高騰で家が買い難くなっている。中国人は、特に『持ち家信仰』が強い為、アリババは自社でマンション開発まで行っている。このマンションはアリババ社員なら時価の半分の値段で購入可能で、無利子の住宅ローンまで用意する程の手厚さである。

アリババは、まさにジャック・マー氏を父とした家族経営だと言える。

過酷な労働環境の中、それでも尚、人々を惹きつけるのは、そこに夢や希望が存在するからに他なりません。そして、その活力が、今のアリババの成長を支えているのです。

ジャック・マー氏は短期間で多くの事を成し遂げました。
彼は、『ニューリテール戦略』に代表される新しい価値を提唱し成功させただけで無く、その間に事業継承までやってのけたのです。

ただ、彼の最大の功績は、急激な成長を達成しながらも、その間にちゃんと人を育てていた事だと言えます。その意味では、やはり彼は偉大な教師でもあるのです。