テンセントの株価下落が止まらない。25兆円が既に消滅。

中国の株価低迷が止まらない。
その下げは、世界で最も顕著で時価総額は、今年1月から3兆ドル(340兆円)余り減少し、これはフランス全体の時価総額に相当します。

この原因は、景気の縮小が続く中国経済が、米国との貿易戦争により、さらに悪化するのではないかと言う懸念にあると言えます。

その株価停滞の象徴となっているのが、中国経済のトップリーダーの双璧を成すテンセントである。同社の株価は1月から38%暴落し、時価総額で25兆円が吹き飛んだ計算になる。これは、日本で言うとトヨタ自動車全体の時価総額に相当する。まさに、テンセントが今年失った時価総額は、世界最多で未踏の領域に踏み込もうとしているのだ。

時価総額で中国最大の5位の座から、一転10位以下まで転落したテンセントだが、『Wechat』というLINEのようなコミュニケーション・アプリが、同社の核となる。
このアプリ内に電子決済やゲームなど、様々なアプリを設置し、現在では、既に200か国以上、ユーザー数11億人のユーザーが使用する世界有数のアプリとなっている。

主な収益源はネットゲームであるが、『WechatPay』での電子決済は、アリババ子会社が展開するアリペイと共に人気を二分しており、もはや社会的インフラと化しているのである。

この順調な業績に冷や水を掛けたのは中国政府でした。中国では、加熱するオンライン・ゲーム人気により、子供の近視率が上昇。ついには社会問題にまで発展してしまいました。これにより、中国政府はテンセントに対し、新しいゲームのリリースを中止するよう勧告。主力事業を封じられたテンセントは、一転危機に見舞われます。
テンセントは、これに対し自ら子供のゲームプレイ時間の制限を開始。子供に1時間以上プレイさせない対策に乗り出し、政府から譲歩を引き出そうとしているのです。

この国の規制が、世界の大型株では、群を抜いて良好なパフォーマンスを維持していたテンセント株の状況を一変させました。
世界の著名な証券アナリスト達は、概ね今のテンセントの株価を割安と判断してますが、それでも株価が好転しない理由は、『政治的不確実性』にあります。
現在のトランプ政権は、場当たり的で気まぐれな政策を行う為に将来の状況が見渡しにくくなっています。この将来、何が起こるか分からない、という状況が市場に悲観的な空気をもたらしています。
また、賛否が分かれるトランプ政権の政策ですが、こと中国政策では、民主、共和両党の政策は一致しており、仮に政権が変わったとしても、大きな変更は望めないと言う状況なのです。

ここには、米国の衰退と中国の台頭と言うパワーバランスの変化が大きく寄与していますが、このような問題はナショナリズムと言う厄介な感情をもたらします。
トランプ大統領は、その感情を巧みに利用する事により政権維持を図るつもりですが、世界2位の経済大国が不況に陥る事は、世界中に大きなインパクトを与える事は明白です。そして、それに一番影響を受けるのは北米と中国を主戦場とする日本企業なのです。

すでに影響は株価に出始めて来てますが、これは、まだ序章に過ぎません。アメリカが中国を敵対視するのであれば、日本や韓国の地政学地位は大きく向上します。その力を源泉に、いかに有利に事態を掌握出来るか、今、政治の役割が求められているのです。