日本未導入の米国の生鮮スーパーでは当たり前の3つの最新サービス。

今、アメリカや中国の小売業に大きな変革の波が押し寄せている。

経営学の理論を学ぶと、店舗の滞留時間と売上の法則という物が存在する。即ち、利用者が店内に居る時間が長ければ長い程、客単価は向上するという考えだ。
しかし、今やこの考えは時代にそぐわなくなったと断言出来る。世界の小売業の最先端は、利用者が如何に効率的で短時間に買い物が出来るか、という点に注力している。欲しい商品が見つからなくて、店内を探し回ったり、レジの行列に並ぶ事は『悪い買い物体験』でしか無く、結果的にロイヤリティは薄れ、お客さんは離れてしまう、という考え方である。

このパラダイムシフトは、Amazonに代表されるEコマースによってもたらされました。以前は、情報量も少なく、配達に3.4日掛かったネットショッピングも今や、口コミなど情報が溢れ、早ければ当日中に商品が届いてしまう、そんな便利さを体験した消費者が、リアル店舗から離れだした事への危機感が彼らの考えを変えたのです。

それにより、小売業は今までに無かった新しいサービスを次々と導入しています。それに活用されているのがネットとリアル店舗を融合するO2Oやオムニチャネルという考え方です。今回は、ネットを活用した新サービスを具体的に見て行きたいと思います。

・今や常識となりつつある店専用アプリ。

今、米国、中国の小売店では、店専用のアプリの存在が常識となりつつあります。
日本で、小売店のアプリというと、お買い得情報や割引クーポンのような物を想像すると思いますが、実態はかなり違います。

もちろん、上記のような機能も存在しますが、このアプリの特徴は双方向とリアルタイムという特徴があるのです。
ウォルマートのアプリを例に挙げると、利用者はまずアプリを立ち上げ、お買い得情報をチェックします。店舗に入るとスマホの位置情報機能により画面が店内地図へと変わります。そこに、欲しい商品を音声入力すると売り場までの経路が映し出されるのです。また、予め購入リストを入力しておくことで、全ての商品を揃えるのに最短のルートを教えてくれる機能まで存在します。

最新のシステムでは、スマホのカメラ機能とAR(拡張現実)機能を組み合わせ、カメラの画像に緑の線で経路を示してくれます。

商品に辿り着いて、そこに貼られたQRコードをスキャンすると、商品情報や、時には、その食材を使ったメニュー提案までしてくれます。
また、商品に付いているバーコードを読み取る事で、アプリに紐づいたクレジットカードから即時決済する事も、一部店舗では可能になります。これにより、利用者はレジの行列に並ぶことなく、買い物が出来るのです。

・カーブサイド・ピックアップの導入

カーブサイド・ピックアップとは、利用者が自宅や外出先から店アプリを使って商品を注文します。注文された商品は、店員によってピッキングされ、それが終わるとアプリを通じて利用者に連絡が行きます。
利用者は、そこから店舗に向かい、店駐車場の所定の位置にクルマを停めると、専門の係員がクルマのトランクに購入した商品を入れてくれます。これにより、利用者はクルマから降りることなく買い物を済ます事が出来るのです。

また、これと同様のシステムで店舗内のロッカーなどにから利用者が直接商品を回収するサービスも存在します。

※ 利用者は送られてくる暗証番号を入力すると。商品を取り出す事が出来ます。

写真の倉庫はピックアップ専用の倉庫となっており、24時間いつでも注文した商品を受け取ることが出来ます。冷凍設備も備えている為、幅広い商品に対応が可能で、忙しいビジネスマンや子育て世代から大きな支持を得ています。

・買い物代行業者との提携

店に取りに行くのさえ時間が勿体ない、という需要を満たしているのが『インスタカート社』に代表される買い物代行ビジネスです。
既にその企業価値は76億ドルとも言われており、ウォルマートを始め様々な小売業と提携してビジネスを展開しています。

アメリカでは、1週間分の買い物を纏めてするのが一般的で、その度にクルマで1時間の距離を走る事も珍しくありません。その上、アメリカの食材は巨大で、1ガロン(約3.8リットル)入りの飲み物を買うだけでも結構な重労働なのです。
インスタカートに関しては、先の記事で特集しましたので、見て頂けると、その企業規模が分かって頂けると思います。

この商品の配達と言うのは、小売業のトレンドとなっており、今やアリババ傘下の生鮮スーパーのフーマー・フレッシュは、店舗から半径3キロ以内であれば、注文から30分で商品を配達してくるサービスまで存在しています。

このように今、小売業のトレンドは店専用のアプリを開設し、そこを起点にオムニチャネルを展開すると言う流れにあります。そして、そこで得られたビックデータを解析して改善を続けるのです。
しかし、日本の生鮮スーパーは、未だ新聞広告をメインにした形態が目立ち、ネットを上手く活用している企業は少ないと言えます。

時代の変革期に臨むにあたり、小売業は、いかに消費者に便利さを与えられるか、という視点が何よりも重要になってきます。欲しい物だけをさっと買って出て行く、という今までは店側にとって、あまり良くないお客さんを、どれだけ増やせるか、という意識が重要なのです。
小売業者が与えないといけない物は、『便利さ』という視点をベースにしたロイヤリティなのです。その為に、いかにテクノロジーを活用出来るか、その事が、重要になってくるのです。