小売業への人工知能活用事例。なぜPOSだけでは駄目なのか?


海外の小売業では続々と小売りの世界に人工知能が取り入れられていますが、いざ自社で導入しようとすると、何から手を付けて良いのか分からない、という事が一般的だと思います。

現在でも日本の小売業では、POSシステムを使用した顧客分析が行われています。なぜ、それだけでは不十分なのでしょうか?
今回は、いかに人工知能を店舗運営に役立てるか、その初級編とも言うべき内容です。

POS分析のデメリットは、顧客が、買った物は分かるが、何に興味を示して、どう行動したが分からない点にあります。実は、小売りの世界では迷ったが買わなかった商品の情報は意外に重要なのです。
また、実際に買った商品についても、利用者が『目的を決めて来店』したのか、『衝動的に買ったのか』という違いは非常に大きいと言えます。

このような情報を取得出来るのが、人工知能を用いた画像分析なのです。

まず、初歩的な導入例で言うと、消費者の行動分析です。
すなわち、自動で来店客を1人1人認識して、彼らが、どのような導線を辿りながら購買行動を行っているかが分かります。POSデータでは、いつ、誰が(性別・年齢)が、何を買ったかは分かりますが、果たして、その買い物が『目的来店』に拠るものなのか、または、商品の配置などが影響したのかは、分かりません。

人工知能を用いた画像分析では、店内で来店客が良く滞在する『ホットスポット』と、逆にあまり滞在しない『コールドスポット』が明確になり、それが商品配置の最適化に役立ちます。その上で利用者が、どの商品を手に取り、どの売り場に何分くらい滞在したかという事が分かれば、これらの情報は商品を検討する際の基礎データとなるのです。

また、カメラを店内だけでなく店の外にも設置する事で、店前通行量や入店率、購買率が把握する事が出来るのです。これにより、店前演出の最適化を図る事が出来ます。このように、今まで万引きなどの監視用に用いてきたカメラを活用する事で、今まで得られなかった貴重な情報が取得出来る様になります。

このような『分析』への活用が終わると、自動決済などの、利用者の『手間と時間』を省く活用へと移行して行きます。

小売業の大型化に伴い、最近は自分の欲しい商品が何処にあるのか、が非常に分かり難くなっている気がします。日本でコンビニがこれ程受け入れられたのは、どこに何が有るか、という事が非常に明確で、買い物に時間を費やさなくても良いからです。そこには、買い物のワクワク感は存在しませんが、日常の買い物は、『補充』という意味合いが強く、消費者は出来るだけ手間と時間を掛けずに済ませたいという欲求があるのです。
その事に、人工知能など最先端の技術を導入して行く事こそが、今、求められているのだと思います。