海外で急増中のクルマの自販機。その仕組みが素晴らしい。

最近は、日本でも中古車を実車を見ずにネット購入する方が増えてきました。

しかし、クルマはやはり高額の買い物。誰しも不安に囚われず、安心して中古車を買いたいというニーズは理解出来ます。しかし、『一物一価』と言われ、個体ごとにコンディションやオプションなどが違う中古車は、知識の無い方には難しい買い物だと言えます。

世界的トレンドとしては、誰でも気軽に買えて、気に入らなければ簡単に返品が可能なシステムの構築に自動販売機のシステムを取り入れる企業が増えてきました。これは、システムを無人化する事で経費を削減する一方、営業マンに合わずに購入や返品が出来る事で、購入のハードルを極限まで下げようという取組みなのです。

アメリカのアリゾナ州フェニックスに本拠を構える『カーヴァナ』は、中古車をオンラインで売るプラットフォームを提供しています。
元来、クルマは販売店に赴き、営業マンの勧誘とプレッシャーに晒されながら契約をする、という煩わしい買い物体験でした。
しかし、同社はクルマの購入のプロセスをネット上で完結する事が出来る。その上で、商品の引き渡しを『デリバリー』か、『ピッキング・アップ』かを選択。後者を選ぶと、大きなコインが送られてきて、写真のクルマの自販機からクルマを受け取る事が出来ます。
基本的に、全ての工程が無人化されており、利用者は、7日間乗った後、気に入らなければ返品が出来るのです。

中国でも同様のシステムをアリババが提供しています。
こちらは、さらに利用者にとって使い勝手の良いシステムで、スマホから欲しいクルマを選び、そのクルマを実際に3日間乗ってから、購入するか、どうかを選択出来る。これは、契約してから返品が可能というシステムに比べ、より手軽でハードルが低い。

この気軽さが受け、サービス開始初日には、何と288台の高級外車が、たった75秒で完売してしまった。

スマホで予約したクルマは、顔認証で本人確認が行われ、クルマのキーが渡されるシステムを採用している。

シンガポールでは、15階建ての自動車自販機が存在する。ここにあるのは、フェラーリ、ポルシェ、ベントレーと言った高級車ばかりが60台収容されている。

自販機と自動車と言う元来、日本が得意な分野の組み合わせにも関わらず日本では、このようなシステムは例がありません。それは、車庫証明の取得や名義変更の事務処理が煩雑で、気軽に返品を受け付けられない現実があるのです。

ご存知の方も多いと思いますが、年間数百万件とも言われる車庫証明申請に対し、係員がわざわざ現地に赴き、目視で確認するという恐ろしく非効率な方法を採用しています。これに掛かる人件費は膨大で、1週間もの時間を要します。
そもそも、これだけのコストをかけて行う必要性があるのか理解出来ませんが、データベース化なり、業務を効率化する方法はいくらも存在するのにも関わらず、数十年間同じ方法が取られ続けているのです。

また、車両の登録に関しても、ナンバーが変わる場合は、その度に車両を最寄りの陸運局に持ち込まなければならず、繁忙期ともなると1日に何回も店と陸運局を往復するという無駄な行為を迫られます。この無駄な人件費も車購入の際に数十万という諸経費を取られる要因の一つと言えます。

このような国の規制と数種類の自動車関連税のお蔭で、納車に掛かる費用と言うのは実際かなりの額になります。この事が安易に返品を受け付けられない理由となり、販売店の収益を圧迫しているのです。

自動車分野に関わらず、世界では様々な新サービスが誕生していますが、日本の複雑な法制度や規制は、事業のスピードを著しく低下させています。
中国の場合などは、まずやらせてみて、不都合が出るようだと後から規制を掛ければ良いという合理的思考で物事が進められる為、とにかくスピード感では絶対に太刀打ち出来ません。こちらが、法の適性を調べているうちに、相手は全力で走り始めているのです。

日本に蔓延する『ゼロリスク信仰』とも言うべき悪習は、行政の肥大化と法制度の複雑化という結果を招き、企業は足枷を付けた状態で戦いに臨まなければなりません。このような制度は時代の変革期には対応出来ず、テクノロジーの進化にも追い付くことが出来ないのです。
一方、このような変革期には中国のような全体主義国家は非常に強さを発揮します。彼らは選挙を気にすることなく、トップダウンで強引に物事を進める事が出来ます。それに関する正誤は別として、私達が相手にしなければならない相手は、そういう相手だという事を理解しないといけないのです。