アリババ・テンセントの覇権競争による経済圏の二極化が進む中国。

 

中国では、アリババとテンセントという2大企業が、ベンチャーキャピタルの役割を担い、その資金力で多くの新興企業を自らの経済圏に引き入れる二極化が進んでいる。
それには、中国独自の特殊な市場環境があるのです。

中国では、毎日16000社が新たに起業して、その大部分が消えて行く。
とにかく競争が熾烈なのだ。その上、中国人は模倣を気にしない。新しいビジネスが誕生すると、次に日には、それを真似たビジネスができているのだ。

その為、新しいビジネスがヒットすると新規参入が相次ぎ、あっという間にレッドオーシャンになってしまう。

企業は市場シェアを確保する為に、収益性を犠牲にしてユーザー数拡大に走る、言わば壮絶な消耗戦が展開されるのだ。その戦いにに掛かる莫大な資金の出所がアリババ、テンセントという訳だ。
今や中国では、この2大企業の資金無しでは、成功は有り得ないという状況になっているのです。

このような理由の為、中国の新興企業の成長スピードは非常に速い。『ユニコーン企業』と呼ばれる時価総額10億ドル以上の企業になるまでの時間は平均3年以下、これは、欧米のそれと比べ半分以下のスピードで達成してしまうのです。

投資分野としては、主に人工知能のセクターに資金が集まっている。その中でも自動運転に関わる技術には、ライドシェアだけで無く、無人バスや路面電車など大型案件が多く存在する。

また、人工知能ロボットの領域も活況で、自然言語、画像処理の基礎研究には、多くの資金が流れている。これらの企業に対しBAT(百度、アリババ、テンセント)が競って投資を行っているというのが現状である。

3社の投資戦略は、それぞれ異なっており、アリババは毎年安定した金額を投資に廻しているが、テンセントは、その動向を見ながら金額を決めている印象を受ける。アリババは、毎年利益の半分を投資に廻している反面、テンセントは、多い時は全利益の97%を投資に振り分けるなど、明確な対抗意識を持っていると言える。

また、投資を行うタイミングにもそれぞれ特徴があり、満遍なく行うアリババと、成熟期の企業に多くの資金を投資するテンセントという位置付けだと言える。

今や世界の時価総額トップ企業を見ると、アメリカ・中国の企業ばかりである。また、次世代の企業の指標であるユニコーン企業に於いても、米中が100社程度、存在するのに対し、日本はゼロと、その存在感は急速に衰えつつあります。
今後、アジア市場では、GAFAと呼ばれる、グーグル、Amazon、Facebook、アップルにアリババ、テンセントという主要プレーヤーを中心に覇権が進むと思われます。その中で日本が存在を主張できるのは、恐らくソフトバンク1社のみという寂しい状況と言えます。

このような状況に陥っても尚、日本には中国を過小評価する傾向にあります。私達が這い上がる為には、まず現実を直視する必要があります。確かに、中国のやり方はフェアーではありませんでしたが、既に急速に力を付けてきた事は事実です。特に、人工知能の分野では挽回不可能と言っても過言でない程に差を付けられました。

彼らは大した事ない、と切り捨てるのは簡単ですが、その前に中国を訪れて北京、上海、深センなどの状況を自分お目で確認するべきです。そうしないと、本当の意味の危機感というのは、日本人には芽生えないと、そう思うのです。