中国での生鮮ECが3強時代へ。京東の『7フレッシュ』の取組み。


飽和するEC事業に於いて、最後の楽園とも言える巨大市場が生鮮EC事業である。

生鮮食品は、鮮度など消費者が自分で見て、触ってから判断したいと言う欲求が強く、特に食の安全性に不安を抱える中国ではその傾向が強い。また、購入から調理までの時間の短さから、配送に掛かる時間を許容し難くEコマースとの親和性が低い分野だと言える。

ただ、最近はジャックマー氏が提唱する『ニューリテール戦略』により、テクノロジーの観点から食の安全性を担保しようとする動きが生まれ、配送に関しても注文から30分で自宅に届くという利便性から、全売上げの60%以上をデリバリー部門で稼ぐスーパーまで生まれたのである。

・アリババ vs テンセント vs 京東、3強時代の到来。

加熱する生鮮EC市場であるが、ほぼ三強に絞られつつある。
主なプレーヤーは、アリババが展開する『フーマー・フレッシュ』、テンセントが投資をする永輝の『超級物種』、そして、国内EC市場2位の京東が経営する『7フレッシュ』である。前者2社は、以前このサイトでご紹介しましたので、今回は後発の『7フレッシュ』にスポットを当ててみたいと思います。

いずれのスーパーも、グローサラント(スーパー+レストラン)方式を取っており、店内での『体験』に重点を置く戦略を取っています。そこに、スマホでの注文と30分以内の配達という『フーマー・フレッシュ』と同様のサービスが『7フレッシュ』でも展開されている。

京東の『7フレッシュ』の最大の売りは、最先端のIT技術を駆使した店舗システムにある。
まず、店舗に入って目を引くのが、利用者に追随して自動で走る『カートロボット』です。

このカートは、専用アプリを起動してQRコードを読み込むと自分のカートになる。
後は、利用者は自由に買い物を行い欲しい商品を上部に設置されたカゴに入れて行く。
その間、ロボットは自動で利用者に追随して、買い物が終わると1人でレジまで行って並んでくれるのだ。利用者は、ロボットがレジに並んでいる間、コーヒーでも飲みながら待っていれば良い。決済は、もちろん専用アプリから電子決済されるのでお金の受け渡しも必要無い。

また、一部の輸入食品を除く全ての商品にQRタグが貼られている。
これを専用の危機で読み取る事により、産地などの商品情報が見る事が出来る。これは生簀で泳ぐ鮮魚なども例外ではなく、生きた魚にQRコードを貼るほど徹底されている。

商品の品揃えは、人工知能が活用され商圏の特性や、過去の売れ行きなどのビックデータを基に決定されるのである。

また、輸入食品に注力している点も特徴で、実に全体の2割を輸入食品が占めている。
現在、中国では農薬の大量使用が社会問題となっており、食の安全に対する意識が高まっている。その為、消費者は自国商品への不信感から、輸入食品に人気が集まっているのだ。

このように、中国では生鮮ECのパイオニアであり、業界を先導する『フーマー・フレッシュ』と、高級食材で差別化を図る『超級物種』、最先端のIT技術を駆使する『7フレッシュ』という3社が凌ぎを削っている。

彼らが目指すのは、消費者に『選択肢』を与える事だ。

つまり、仕事の忙しい平日は、帰宅途中でスマホで注文し自宅に届けて貰うが、時間のある週末は店舗に行って、新しい商品との出会いを楽しんだり、店舗にある食材をその場で料理してくれるレストランで食事を楽しんでも良い。買い物の自由度を高める事で、消費者の利便性を追求しているのです。

日本に於いては、きめ細かい店舗網を持つ地場の小規模スーパーの存在や、生鮮ECの整備が遅れていることなどから、リアル店舗の危機感が若干低いように見受けられます。
その為、他社との差別化が明確で無く、ネットへの取り組みも不十分だと言えます。
ただ、米中で進行するこの小売業の流れは不可逆であり、いずれ対応を迫れることになると言えます。その際、この中国での3社の取り組みは良いベンチマークになると言えるのです。