Amazonブックスは他の本屋と何が違うのか?

ネット通販大手のAmazonは、着実に実店舗を増やしつつある。
今、話題の無人コンビニ『Amazon Go』は勿論、生鮮の『ホールフーズ』、Amazonでの売れ筋商品ばかりを揃えた『Amazon 4スター』、そして、本日ご紹介する『Amazonブックス』である。

アマゾンは、1998年に取扱商品を拡大する迄、5年間は書籍専門のネット販売業者でした。
当時は、バーンズ&ノーブルに代表されるような大手が、店舗の大規模化を進め、飛躍的に売り上げを増やしていました。この大規模化による在庫数の増加は、顧客に安心感を与え、『あそこに行けば必ず在庫がある。』という魅力に繋がったのです。

また、日本のように再販制度が無いアメリカでは、書籍の値付けは各店舗に任されており、大量に仕入れたベストセラー作品を定価で売り抜けた後は、徐々に値下げをして売りさばく方式が常態化しており、良い本が安く手に入る、というイメージを消費者に植え付けたのである。

この方式をネットで実践したのが、当時はまだ創業間もないAmazonでした。

彼らは、運営コストを極限まで削って、大規模な値引き販売を敢行したのである。リアル店舗を持たないAmazonは、コスト面で有利な上、在庫を分散させる必要が無い為、効率的な運営が可能で、結局のところ値引き戦争に疲弊した実店舗が、急激に衰退して行く事になったのでした。

彼らをネットの力で打ち負かしたAmazonであるが、最近は16店舗もの『Amazonブックス』の実店舗を開店している。

これは、今の小売業にトレンドであるオムニチャネルへの取組みとも見て取れるが、同地区に大量出店しているところを見ると、ネットで到達できない顧客へのアプローチと見る方が正しいのかもしれない。Eコマース市場は急成長しているが、現在でも小売業の売上の92%は、実店舗で生み出されているのだ。

・Amazonブックスは、現金はを使用出来ない。

Amazonブックスと他の店舗の違いは、現金が使用出来ない事。
利用者は、クレジットカードを使うか、Amazonアプリから、表紙にあるQRコードをスキャンして電子決済をする必要がある。

利用者にしてみれば、小銭を出したりする会計処理の煩わしさを軽減出来るし、店舗運営も効率化する事が出来る。

・Amazonブックスには値札が無い。

実は、Amazonブックスには商品に値札が付いていない。Amazonブックスでは、商品の値段は常に変化するのだ。
Amazonを利用する方ならお分かりだと思うが、販売される商品の値段は頻繁に変更される。これは商品の値付けを人工知能が行っている為だ。

この値付けに使用されるアルゴリズムは、他店やサイトの同商品の値段を常にチェックして販売価格の最適化を行う。以前、ハリケーンが到来した際、生活必需品のAmazon価格が高騰して批判を浴びたが、その原因は、このアルゴリズムにある。

その為、利用者はアプリを開くか、店頭のバーコードリーダーでいちいちスキャンしなければならない。これは、かなり面倒で電子タグの採用など、改善する余地はあると言える。

Amazonブックスは陳列にも特色がある。表紙が全て正面を向いているのだ。

一般の本屋では、店の『おススメ』商品を同様の陳列方法で行う場合が多いが、Amazonブックスの場合は、在庫される商品すべてがネットのAmazonで、星の数が多い売れ筋商品になる。
ただ、顧客目線で見ると、メリハリが無く入って来る情報量が多過ぎて、少し混乱してしまいそうになる。

Amazonブックスは、配送費用の削減にも一役買っている。
配送の即日化と荷量の増加に伴い、配送コストは益々増加し収益を圧迫しているのだ。消費者が注文したその日に、商品を受け取れる場所を設置する事は、配送に掛かるコストを、大幅に削減出来るのである。

Amazonブックスで買い物をしていると、消費者は、それがもはや、オンラインなのかオフラインなのか、という意識は存在しない。その間を自由に行き来して、シームレスに買い物を楽しむことが出来るのです。

今、小売業は、場所や空間を問わず如何に顧客と接点を持ち、それを強めて行けるかという事が重要になっています。その為に実店舗の存在は非常に大きいと言えます。EC市場は急成長していますが、現在においてはニッチ市場で、需要のメインは実店舗なのです。

上の表を見て頂ければ分かりますが、ECの市場比率はアメリカでも16%、日本においては、僅か6%の市場比率であり、小売業の覇権を握るには、どうしても実店舗への展開は不可欠と言えるのです。

ただ、中国、インドと言った国々では急速にEC市場が発展しています。市場規模からしても、この2大市場を含めたアジア圏での覇権競争は、今後、益々激しくなっていくのはもはや確実と言えるでしょう。
ここでは、既にAmazonやウォルマート、アリババと言った世界の巨人達が、着々と足場を固めつつあります。ここを制した者が世界を制する、そう言っても過言では無いと思います。