苦悩するアップル。ジョブズの神通力は消えたのか?

2018年11月。時価総額で初で1兆ドルを達成し、首位に君臨していたアップルが、その座をマイクロソフトに明け渡した。その後、再び返り咲くが再度の陥落で、今日現在も2位の座に甘んじており、3位のAmazonにも猛追を受けている。

1976年、ウォズニアックと共に創業されたアップルは、良くも悪くもスティーブ・ジョブズ、そのものだったと言える。途中、会社を追われながらも、アップルは彼の強烈なエゴとビジョンにより牽引されてきたのだ。
彼の人間性については、様々な意見があると言えるが、彼が世界を変えた事は確かで、世界中が彼の作った『作品』に魅了されたのである。

私のアップルとの出会いは、今から20年以上前になるが、当時通っていた大学では、1人1台のアップル・ノートが支給されていた。当時は20㎝以上の厚さに、かなり重いノートパソコンであったが、それ以前のMS-DOSのパソコンしか使った事の無い私には、かなり斬新なものでした。
学校の教室には、色とりどりのiMacが配置され、そのスケルトンのボディは、味気ない教室の空気を一変させてしまったのである。

それ以来、アップル一筋で来た私は、Aiphoneが発売されると直ぐに購入し、以来モデルチェンジ毎に買い替えてきた。
しかし、2011年に彼が亡くなってからは次第に商品の魅力は薄れ、私自身冷めてしまった。商品から『革新』というか、ワクワクする物が消えてしまったのだ。
それ以降もアップルは着実に成長を続け、史上初の時価総額1兆ドルを超え、世界一価値のある企業となったが、徐々に製品の斬新さは失われていったのである。

今年公表された4-6月期の業績は、売上高で前年比17%超と好調を維持している。
しかし、販売台数の伸び悩みは明白で、商品の価格アップでどうにか繋ぎ止めている状況だと言える。

確かに『サービス部門』の売上は伸びているが、これはユーザーがサービスを利用するに辺り、より多くの支出を求められる事を意味しており、良い兆候とは言い難い。
ここ数年、スマホ業界の環境は激変しておりoppoやシャオミなどの中国メーカーが、売上を伸ばしており、ついにファーウェイがアップルを抜いたことにより業界3位の地位にまで追いやられてしまったのだ。

長らく高価格戦略を取ってきたアップルであるが、現在、その戦略の維持が困難になってきている。なぜなら、彼らの戦略は斬新なアイデアと無二のデザイン性によって維持されてきたが、それが限界に来ている。

実際、日本の通信事業者の間では、補助金により3割もの値引きを敢行し、米国の公式サイトでも割安で買い替えられるキャンペーンを展開している。つまりは、もうジョブズが残した神通力も潰えようとしているのだ。そうなれば、おのずとレッドオーシャン市場に引きずり込まれる事になるのは明白と言える。

・アップルはユーザーフレンドリーな企業では無くなった。

且つてのMacは、部品がモジュール化されており、アップグレードも容易で修理もし易かった。

しかし、今は部品が接着剤で直付けされている為、個人でメモリ・ストレージ・バッテリーの交換は不可能な構造になっている。また、修理も限られた業者でしかパーツにアクセス出来ない。搭載されたチップのセキュリティで、メーカー側が修理出来る人を制限している為だ。
必然的に、ユーザーはアップルに異常に高い金額を払って修理を依頼するか、買い替えるか、という選択を強いられる事になる。

以前は、誰かにアップル製品がウィンドウズやアンドロイドと比べて何が良いの?という質問に対し容易に答える事が出来た。しかし、今はその自信は無いし、実際に見つける事が出来ないのだ。正直、今のアップルはビジネスライクになり過ぎてしまった。

現在、ビジネスの流れは如何に『個』への対応が出来るか、という時代になりつつある。全ての人に同じような商品やサービスを大量に供給する時代は終わったのだ。

しかし、アップルには、この視点が欠けているような気がしてならない。今や顧客は『不便さ』を感じてしまうと直ぐに離れてしまう。
ブームは直ぐに消え去る。その時にこそ、商品の本質が問われるのである。