1年で1700店舗出店!? ラッキン・コーヒーの勢いが止まらない。

中国では、近年の経済成長による所得の向上もあり、コーヒー文化が芽生えつつある。
現在、国内の店舗数を見るとスターバックスが断トツの店舗数を有しており、その数は中国全土に3300店舗にも及ぶ。

ただ、近年この業界地図に変化が起きつつある
それは、創業間もない『ラッキン・コーヒー』の台頭である。
この企業に関しては、以前の記事で取り上げた為、詳細は割愛するが斬新なビジネスモデルを武器に、創業1年弱にして、何と1700店舗を出店するなど急激な成長を見せている。

ッキンコーヒーは、創業から僅か9カ月でユニコーン企業となった中国でも話題の企業だ。
世界的に見ても、企業の成長スピードは上がっているとは言え、これほどの急成長をする企業は類を見ないのである。

先でも述べた通り、その出店スピードは驚異的で、20年の歳月を欠けて、ようやく3300店舗を開店したスターバックスを信じられないスピードで猛追している。

今月、そのラッキンコーヒーは、新たなBラウンド資金調達で、2億ドルの資金を得て、その企業価値は22億ドルにまで跳ね上がった。同社は、年内に2000店舗の出店を目標に掲げているが、今回新たに『弾薬』を補充出来た事になる。

中国でのコーヒー豆の消費量は、年率18%と急激に伸びており、2020年には17兆円市場になると言われている。これは、アメリカの0.9%、日本の3.5%と比べても、その成長率は際立っていると言える。

そんな中国で、スターバックスは51%という強力なシェアを持っている。
中国でのコーヒー文化を牽引した同社の知名度とブランド力は非常に高い。だが、今年になり、その成長力に陰りが見えてきたのだ。具体的には、売上成長率で前年対比2%減という衝撃的な内容に、株価を大きく下げる事になる。成長市場に於いて自社の売上が下がる事は、競争力の低下を意味するものだと言える。

この不調の原因を1つに限定する事は難しいが、敢えて言うなら以下の2点が挙げられる。

・スマホ決済への対応の遅れ。
・宅配サービスへの対応の遅れ。

今や中国の都市部では20%近くの人が、外出する際に財布を持ち歩かないと言われている。町の屋台から公共交通までスマホ決済が浸透し、財布自体が必要無いのだ。その為、スマホ決済への対応の遅れは致命的だと言える。

また中国では高級品で、ある種のステータスとされるスターバックスにおいて、行列に並ばなくてはならないという買い物体験は、利用者にとって良いものとは言えない。しかし、注文してから1杯ずつ作る事で品質を保つコーヒー業界は、どうしても待ち時間が生まれやすい。これに対し、ラッキンコーヒーは、テクノロジーの活用で、その不満を解消した事も大きいと言える。

このラッキンコーヒーの猛追に対し、スターバックス・コーヒーは、今後5年間で店舗数を今の倍の6000店舗にする、という計画を発表しました。
今や同社にとって、最大の売上をもたらす事が確実視されている中国市場での敗北は、絶対に許されないのである。

ただ、注文から決済までの全工程を電子化したラッキンコーヒーは、情報戦の分野では、一歩抜きに出た形である。専用アプリを使って集めた、顧客の細かい好みなどのデータは、確実に今後のマーケティングに意味をもたらすと言えるのである。

スターバックスは、今まで全く経験しなかった戦いを迫られている。
小規模業者の多いオーストラリアなどの苦戦は経験しても、チェーン店相手の戦いでは、まさに無敵の存在であったのだ。 

その意味で、ラッキン・コーヒーは始めてスターバックスに正面から戦いを挑んだ企業と言える。これは、中国人のせっかちな国民性も寄与するが、多くの国で店舗内でコーヒーを飲む人より、ドライブスルーや宅配を依頼する顧客層が増加している事実がある。
これは、スターバックスの経営理念である『サード・プレイス』、つまり自宅、職場を離れた非日常な第3の空間を提供する、というコンセプトが、利便性と言う概念に浸食されている事を意味しているのだ。

中国の新興企業の恐ろしさは、その成長スピードにあります。欧米企業が2.3年に1度の資金調達を行うのに対し、彼らは、そのスパンが約半年と、異常に短い。
そして、日割りにすると1日当たり50店舗以上という強烈な出店攻勢が、なぜ可能なのか?、私には想像も出来ないが、それを実現するエコシステムが存在するという事も驚かされる。
現在展開されている米中貿易戦争が進めば、アメリカ資本のスターバックスは、益々不利な戦いを迫られる事になる。その意味で、スターバックスにとって中国展開へのシナリオは細心の注意を持って行わなければならないと言えるのである。