Amazon vs アリババ。世界のEC市場を制するのは誰か?

急成長中のEコマース業界において、2強を挙げるならAmazonとアリババの両社は外せない。
現在、世界全体のEC市場規模は、約1兆7400億ドルと言われているが、その内26.6%をアリババ、13%がアマゾン、そして4.5%がeBayが握っている。

・アリババ・グループ

アリババは、T-Mall(天猫)、タオバオという2つのECプラットフォームを有している。
全体の流通総額は62兆円、その内の50兆円がモバイル経由の注文となっている。流通総額は、ここ4年で3倍に増加しており成熟期に入った現在でも高い成長率を示している。

彼らの最大の強みは、実はフィンテック部門にある。
子会社が運営するスマホ決済アプリ『アリペイ』は、中国に於けるオンライン決済の5割、モバイル決済の8割のシェアを有しており、そこから得られる購買のビックデータは、スマホのGPS位置情報を絡める事で、より有用な情報として同社のマーケティングに無くてはならない物となっている。

また、投資部門でも23兆円規模のMMF投資量を持つ、世界最大のファンドを有している。

・Amazon

Amazonは、言わずと知れた米国のEC企業である。
アリババが、楽天型のモール方式を取る一方、アマゾンは自社でのPB商品を含めた販売も手掛けている。流通総額は、マーケット・プレイスの売上が未公表の為、推測の範囲を出ないが約35兆円前後だと言える。

近年はクラウド・サービスに注力しており、全事業の10%の売上を稼ぐまで急成長している。
海外売上比率も、アリババの6%と比較すると32%まで向上しており、積極的な海外展開を進めている。

現在、両社は海外への進出を加速させる一方、オムニチャネルへの取組みを進めている。
Amazonは、最近話題の『Amazon Go』の他にも、生鮮スーパーのホールフーズの買収や、Amazonブックス、Amazon 4スターなどの実店舗の拡充や、配送スピードの向上に注力。

対するアリババは、生鮮スーパーの『フーマー・フレッシュ』の展開や、無人コンビニなど、人工知能を活用した効率的な出店攻勢を掛けている。

オムニチャネルでは、ネット注文した生鮮野菜が30分で自宅に届くというサービスまで展開しており、一歩抜きに出た形だ。

・Amazon、アリババがインドで直接対決か?

EC市場での覇権を占う上で、無視出来ないのがインド市場である。
この中国以上の人口を抱え、まだEC市場が未発達な同市場は、市場規模はまだまだ小さいながらも、強力な『伸びしろ』を有しており、市場の成長率も40%を超えるなど、多大な可能性を秘めている。
その為、インドこそが将来のEC市場の覇権を占うと言われているが、実に意外なダークホースが現れたのだ。

・インドのEC市場に突如現れたウォルマート。

2007年にAmazonの元幹部のインド人2人によって創業された『Flipkart』は、インドのEC市場で4割のシェアを持つ最大の企業です。
2018年5月、突如、米国のウォルマートが同社を買収すると発表し、一躍国内シェア1位の座を手にしたのです。

これにより、Amazonはシェア3割の業界2位の地位に追いやられたことになります。
また、インド市場に出遅れたアリババは、業界3位の『スナップディール』にソフトバンクと共同で出資すると共に、電子決済のプラットフォームである『Paytm』を抑えるべく出資、その他にも流通会社を買収するなど、『情報プラットフォーム』に価値を置いた投資戦略を進めています。

インド市場に出遅れたアリババは、決済のプラットフォームを抑えに行く、という独自の戦略で、遅れを挽回しようとしています。というのも、電子決済で得られるお金に関するビックデータは、ビジネスを進める。上で絶大な力を発揮します。

お金の使い方を見れば、その人のおおよその収入や地位、そして、趣味・趣向や家族構成、そして、いつ・どこで買い物をしたという位置情報からは、その人の生活エリアまで分かってしまいます。これらを人工知能で解析する事で、大きな成功を得られるとは、アリババが一番理解しているのです。

今後、Eコマースの主戦場は、インド・インドネシアを中心としたアジア諸国に移って行くと思われます。Eコマースは、本来はインフラや、様々な社会基盤が整っていない地域の方が、より広範囲に受け入れられる事は、中国の状況を見れば理解出来ます。

その意味で、アジアのEC市場は欧米より高い伸びを示す事は確実で、その覇権を誰が握るか、という点は、非常に興味深いテーマであると言えます。
ただ、各社にとって政治リスクは年々拡大する方向にあり、その狭間を付いて、如何に出し抜けるか。各社の取組みにしばらくの間は、目が離せません。