トランプ大統領が提唱するメキシコ国境の壁建設は、果たして有効か?


今月21日、トランプ大統領は、メキシコ国境の壁建設費用を含む暫定予算案を、民主党が支持しなければ、一部の政府機関が長期に渡り閉鎖されると警告しました。

何とも馬鹿らしい話であるが、どうやら彼は本気らしい。
しかし、単純に疑問に思うのは、税関や国境警備局が推進するハイテクな手法に相反して、なぜ『壁』なのだろう?、という点。
単に分かりやすいから、と言う理由に違いないが、彼の提唱する『壁』がとれだけの有効性があるのか、検証して行きたいと思う。

・国境の壁の建設コストは、最低でも1兆円。

選挙公約でメキシコとの国境に壁を建設すると言ったトランプ大統領であったが、就任から1年は、まるで何も無かったかのように、その事には触れないでいた。
しかし、支持率が低迷し株価も急落する中、再び壁建設を主張しだしたのだ。

公約では、費用はメキシコに負担させると言っていたと思うが、当てが外れたようで、今回の暫定予算案に盛り込んで来たのだ。

その費用であるが、実に1兆円を超えると予想されており、正直その効果もかなり限定的な物となる可能性が高い。しかも、この金額は国境の様々な地形を全く考慮しておらず、実際は、この2倍の金額が掛かると言われているのだ。

・国境の壁は全長距離の半分のみ。

メキシコとの国境線は、およそ3200㎞。

しかし、地理的な制約によって、全長によって壁を建設する事は不可能で、壁建設は半分程度になる事はトランプ大統領も認めている。
因みに、既に国境線の内の1126㎞には、70億ドルの費用を費やした高さ5mのフェンスが設けられている。今回、このフェンスを除去してコンクリートの壁を建設しよう、という計画なのだ。
因みに、この建設には4万人を動員しても4年の歳月が掛かる。その上、国境線の土地は、多くが私有地で、そこにはトランプ大統領に反対する住民も多いのである。

仮に、計画通りコンクリートの壁が建設されたとしても、密入国は決して無くならない。なぜなら、密入国者は、壁を乗り越えたり、穴を開けるなど様々な対策を立ててくるからだ。
つまり『壁』は、その向こうに誰も居なければ、意味を成さないのである。

当然、その数千キロに及ぶ広大な距離をパトロールする人員も確保しないといけないが、そのコストは、組み込まれていない。
また、フェンスと違い透明性の無いコンクリートの壁は、監視そのものを困難にさせるのである。

国境警備のプロフェッショナルである米国税関・国境警備局は、手をこまねいている訳では無い。
彼らは、最新のテクノロジーを配した警備システムの構築を計画している。

それは、高性能カメラや、センサーネットワーク、それに無人ドローンなどを複合的に組み合わせたシステムで、既にプロジェクトを前進させる準備が整ったと議会にも報告しているのである。

トランプ大統領が、なぜここまでアナログな『壁』に拘るのかは理解出来ませんが、費用対効果で言うと、かなり不利なのは否定出来ません。
ただ、予算を『人質』にしている以上、実現の可能性を否定する事は出来ません。
仮に予算が通った場合、移民無しにどうやって工事を行うつもりなのでしょうか?

感情論ばかりが先行して、次々と人が入れ替わる。アメリカ政治の停滞は世界経済にとっても大きなリスクとなりつつあります。