競争から共存へ。米国スーパーKOHL’Sの奇抜な戦略。


今や、『アマゾン・エフェクト』という言葉さえ出来てしまうEコマースの巨人のAmazon。小売業界では、果敢に勝負を挑む者や、敢えて戦いを避ける者、各社、様々な戦略の下、凌ぎを削っています。

そこで、今日お伝えするのは、米国で衣料品を中心に販売するスーパー・チェーン『コールズ』です。他社が、Amazonの扱いに悩んでいる反面、彼らは、明確な戦略を以て対峙しようとしているのです。

日本では、全くと言って良い程、知名度が無い『コールズ』。
彼らは、1962年にウィスコンシン州で設立。当初は、小さな衣料専門店からスタートしました。現在は、百貨店という位置付けだが、他の百貨店が郊外のショッピングモールなどに出店しているのに対し、彼らは、より住宅街寄りへの出店を行っている。

通常、百貨店に無いショッピングカートを使用するなど、格式より合理性を主体に置いた経営が特徴で、店舗のオペレーションも、10人前後の店員で行うなど省コストでの運営を心掛けている。

・コールズの店内にAmazon専用の返却カウンターを設置。

米国の商習慣の特徴として、『返品』の文化がある。
日本でも、コストコなどが実施しているが、例え食べかけの食品でも、気に入らなければ返品が可能で、キャッシュバックが受け取れる。
日本では、このような行為は気が引ける為、気に入らなくても我慢する事が多いが、ある統計によると、アメリカでは実に売れた商品の12%が返品される。

この文化は、当然AmazonのようなEコマースにも踏襲され、かなりの割合で返品が発生している。Amazon側も、敢えて返品のハードルを下げており、返品ボタンを押すだけで、返品の送付状を印刷できるようになっており、利用者は、それを持って郵便局に行く事になる。

ただ、アメリカでは日本ほど密度の濃い郵便網が存在しない為、最寄りの郵便局まで行くのは、かなり手間がかかる。

コールズが考えた戦略は、Amazonの返品を自社で受け付けようという物。
そして、その為の専用カウンターを店内に作ってしまったのだ。そこでは、返品に来たAmazon利用者に対し、自社のクーポンを配布し買い物を促している。

日本のコンビニでは、公共料金の支払いなどで誘引し、『ついで買い』を促すような戦略を取る企業もあるが、明確な『商売敵』に対しここまでやる企業は存在しない。

・商売敵を店内に引き入れ、集客につなげる。

実は、コールズの凄さはこれだけではない。

コールズは、自店舗の適正サイズ化を進めており、売り場面積の圧縮に努めている。
そして、その空きスペースの活用法として、これまた商売敵のディスカウントストア『アルディ』を誘致してしまったのだ。

業態は違うと言っても、一部の商品ジャンルは重複しており、価格では敵わない。
それでも、『アルディ』の持つ集客力が同社にとってプラスと判断したのだ。

このような大胆な施策を取る同社ですが、苦戦する同業者を尻目に毎年10%近い成長を遂げており、店舗数も1200店舗に迫ろうとしている。
競争の激しい小売業ですが、コールズのように敢えて競争を避け、味方に引き入れる事で成長するという非常にユニークな戦略と言えます。
これは、利用者の利便性を第一に考えるという、小売り魚の原点を思い出させてくれるのである。