グーグルを抜いた !? 世界的学術誌が認めたアリババの人工知能。

相手が人工知能だと気付かずに電話で話す。既にそういう時代になっている。

この程、開催された国際学術会議『NIPS(神経情報処理システム会議)』において、アリババの科学研究部門『達磨院』で開発され、既に宅配の分野で実用化されている、人工知能音声技術のプレゼンテーションを行った。

中国の宅配便配達員は、荷物を届ける前に届け先に連絡をして、在宅の確認や、荷物を宅配BOXに入れるか、など確認する慣習がある。
実は、これが配達員の負担になっているのだ。

通常、配達員は1日に200個の荷物を配達する。その度に電話をする訳だが、200件に1分の電話時間としても200分。実に1日当たり3時間以上を電話に費やしている計算になる。
現在、この負担を無くす為に、アリババの物流部門の菜鳥科技は、人工知能の音声技術を活用しているのだ。

人工知能が話すと言うと、何か片言のような会話を想像してしまうが、この人工知能は女性の声で、相手の話をきちんと聞いて話す。

良く人間でも有りがちな、相手の会話を遮ってしまったり、一方的に内容を伝えたりという事をしない。つまり、きちんと相手の言う事を理解して、会話のキャッチボールが出来るのだ。
そして、その内容は配達員に正確にフィードバックされるのである。
では、実際の会話の内容をご覧頂こう。

AI:こんにちは。今日の午前、文一西路588のあなた宛てにZT宅配便の荷物をお届けする予定ですが、ご都合はよろしいですか?

客:どちらさんですか?

AI:私は「菜鳥」の音声アシスタントです。配達員が荷物をお送りする前に確認のため電話をしております。

客:午前中は家にいないですよ。

AI:では、荷物を受け取れる場所を教えていただけますか? 配達員に伝えますので。

客:荷物の中身は何ですか?

AI:送り状には「印刷物」と書かれています。

客:うーん。では、マンションの管理人のところに願います。…いやいや。ちょっと待って、やっぱり、うちの玄関に置いていって。

AI:玄関の前ですか?

客:…(沈黙)

AI:もしもし、どうされましたか? 玄関の前に置くということでよろしいですか?

客:OK。 客:おっと。そうだ、ZTの宅配便はもう一つあったはずだけど、今日配達できる?

AI:少々お待ちください。あなた宛てにZT宅配便の荷物がもう一つありますが、配達は明日になる予定です。

客:ありがとう、じゃあよろしく。

AI:はい、ありがとうございました。

ここで驚くべき事は、単純な『はい』や『いいえ』だけで無く、相手の意図をきちんと理解して話せている点だ。
例えば、『家には居ないんだ。』という客の返答に対して、きちんと理解した上で別の提案を行っている点や、届け場所について、相手の気が変わった時なども正しく理解して対応している。
文字では伝わらないが、会話の『間』にも非常に配慮されていて、『ニーハオ』の後に1秒開けて話し出すと人間らしく聞こえる、など様々な工夫がされている。

また、このAIロボットは標準語を話すが、相手の方言もきちんと理解する事が出来る。

今年5月に、グーグルが同様の人間に似せた音声アシスタント『デュープレックス( Duplex )を発表したが、世界的権威である学術誌『MIT Technology Review』は、既にアリババの人工知能は、グーグルを抜いたと結論付けたのである。

この技術の難しい所は、技術的な部分だけでなく『感性』が要求される点だ。

話し方如何によっては、相手がセールスの電話だと勘違いして電話を切ってしまうのだ。
その為に、何度も試行錯誤が行われ、どうすれば相手が電話を切らないか、という点をを踏まえ話の『間』やニュアンスを微妙に調整しながら開発が進められた。

この会話内容を見る限り、私達が思ってる以上に技術が発達しているという印象を受けます。中国ではEコマースの発達で、今や世界中の荷物の半分の400億個の荷物が1年に配達され、尚且つ毎年急激に伸びているという現実があります。流通の分野では、それに対応する為に、常にギリギリの状態にあるのです。

『発明は必要の母』という言葉がありますが、まさにこのギリギリの環境が技術の躍進に繋がっていると言えるのです。