米国の返品文化を利用した革新的サービス『Happy Return』


消費大国アメリカでは、販売された商品の12%が返品される。

これが、Eコマースとなると更に増加し20~40%という数字も珍しく無いのである。
返品される商品は、レシートの無い物や、食べかけの食料品など多義に渡るが、世界最大の小売業者であるウォルマートでは、90日以内の返品は無条件に受け入れるし、カルフォルニア州などでは、法律で購入から7日以内の返品を義務化している自治体まで存在するのだ。

このアメリカに根付いた返品文化であるが、Eコマースの場合は、先程述べたように、商品を確認せずに購入する為、当然だが返品率は高くなる。
Amazonを含め、多くのEコマース業者は、返品に掛かる送料の負担は当然として、予め商品と一緒に返品用の送付状を同封する業者まで存在する。

この事が、彼らの収益力を圧迫しているのだ。

実際、ある調査では、アメリカの66%のEコマース利用者は、『返品送料自己負担』の場合は購入を諦める。さらに80%の利用者が送料無料が購買を決める大きな要因だと答えたのだ。
返品制度は、もはやEコマース業者にとって不可欠な物と言える。

そんな中、アメリカで新たなビジネスが誕生した。それは、返品代行業だ。
『Happy Return』と名付けられたこのビジネスは、ショッピングモール内に返品専用カウンターを設けたのだ。

ここでは、提携するEコマース業者への返品を代行してくれる。
返品の際に面倒なのが、段ボールに梱包して送付状を作り、最寄りの郵便局まで持っていく手間にある。『Happy Return』では、商品を無梱包の状態で持ち込めば、それだけで返金の手続きを行ってくれるのだ。

一方、Eコマース業者にとっての悩みは、個別に発生する送料負担へのコストだった。
しかし、『Happy Return』と提携する事で、商品を纏めて発送してくれる為、送料の一部がカット出来るメリットがある。

また、『Happy Return』を誘致するショッピングモールにもメリットがある。
それは、彼らのブースを設ける事で、今まで訴求出来なかった購買層の来店を促せるのだ。

このように、まさに『三方良し』のビジネスモデルであると言える。

ある程度のスケールに到達出来れば、そこから生まれる膨大な返品データの活用など、様々な可能性を秘めている上、無店舗でブースさえあれば展開できる。
この低コスト体質は、強力な武器だ。

ただ模倣され易いビジネスモデルの為にスピード感が要求されるが、この『返品』という所には、まだまだ新たなビジネスの可能性を感じるのも確かである。
Eコマース全盛の時代、業者と利用者の間に生まれるエリアには、まだまだチャンスが溢れているかもしれないのだ。