米国では先駆者利益を享受し、競争に晒されてこなかったテスラ社だが、中国市場では、そう簡単ではない。
テスラにとっては、初めての海外生産でありサプライチェーンを初めから構築する必要があるのだ。
また、昨年同社を苦しめた生産体制も、当初の目標からはかなり遅れていると言える。
ただ、やはり最大の不安要素は政治リスクだ。
進展する貿易摩擦は、反米意識を巻き起こし、不買運動に発展する気配すら存在する。
また、テスラ自身がアメリカの『象徴』として、中国政府からの嫌がらせや、最悪イーロン・マスク氏の身柄拘束という事態も、ファーウェイ問題の進展次第では、完全には否定できない状況だ。
その他の問題として、『人材』だ。
ここ数年、テスラ社では10人を超える経営幹部の退職が続いている。
このような状況では、万全と言えない米国市場と中国の市場をマスク氏が掛け持ちで経営に当たらなければならない。
ハードワーカーで知られる同氏だが、この距離の問題だけはどうにもならない。