ソフトバンクGも出資するドアダッシュがインスタカートを脅かす?

ドアダッシュ社とは、米国サンフランシスコに本拠を置く、フードデリバリー・サービスを提供する新興企業である。

2018年3月には、ソフトバンクグループが主導する『ビジョン・ファンド』を含め数社から570億円を調達。シリーズDラウンドの出資を受けている。

スタンフォード大学の学生により創業された同社は、契約したレストランのテイクアウトメニューを自宅や職場に届けるサービスを提供している。
こう言うと、単なる出前サービスのように思われがちだが、ITを駆使した注文、決済、配達と言ったプラットフォームを一括して供給しているのが、大きな特徴だと言える。

利用者は、専用アプリから好きなメニューを選ぶと、現在の混雑状況や配達時間などが表示される。
その後、調理の経過や配達人であるダッシャーの現在地などが、リアルタイムに表示され、利用者は商品がいつ届くか分からないというストレスから解放される。

配達人には、Uberと同じくシャア・エコノミー方式が採用され、働きたい人間は、働けける時間帯と最低の報酬を登録すると、仕事が割り振られる仕組みだ。

同じ食品デリバリー業と言えば、以前特集したインスタカート社があるが、インスタカートは、生鮮スーパーでの買い物代行、ドアダッシュは、飲食店のフードデリバリーと住み分けがなされたいた。

しかし、近年ドアダッシュ社は、セブンイレブンと提携したのを皮切りに、世界最大の小売業者であるウォルマートと提携し、インスタカートの市場を侵食し始めたのだ。

ドアダッシュとインスタカートは、一見同じようなビジネスモデルに見えるが、実は大きく異なる。

料理を温かいままに自宅に届ける、という事は調理時間や店の混雑状況、それに配達経路など様々な要因を加味しなければならず、システムには複雑なアルゴリズムが要求されるのだ。

この最適な場所に、最適なタイミングで人を動かす技術は、配達のスピードアップには欠かす事が出来ない要因であり、インスタカートにとっては脅威なのだ。

このドアダッシュ社が新たな一手を打ってきた。
それが、米自動車メーカー大手の、自動運転部門『クルーズ』との提携だ。

今現在、食品スーパー大手のウォルマートやクローガーは、独自で自動運転車による配達や送迎サービスの実証実験を行っている。その為、配達を専業とする同社にとって、自動運転車の導入は避けては通れないのだ

現在、業績が絶好調のインスタカート社の唯一の弱点は、自動運転への対応の遅れだ。
恐らく、その必要性は十分感じていると思われるが、急激な成長ゆえ対応が遅れてしまっているのかもしれない。

今回、ドアダッシュ社が先んじて自動化の取り組みを始めた事は、業界地図を書き換える可能性さえ秘めている。

将来的に見て、自動運転技術が広まると、大手スーパーは、配達を内製化する可能性が高い。
そうなれば、中小のスーパーや飲食店など、自前でオムニチャネルを導入できない企業が、顧客の主力となる。そうなった場合、今のインスタカートとドアダッシュの力関係が逆転する可能性があるのだ。

自動運転分野では、ソフトバンクグループの孫正義CEOが、非常に大きな影響力を持っている。ハードウェアからソフトウェアのプラットフォームまでの満遍無い投資で、業界を牽引しているのだ。
その彼が、インスタカートでは無く、敢えてドアダッシュを投資対象として選んだというが興味深い。企業価値と言う面では、大きな開きがある両社であるが、この後の展開が非常に楽しみな企業であると言える。