米国が世界一の経済大国の地位を維持出来るのは、2020年まで!?

 

ギリスの大手金融機関であるスタンダード・チャータードが発表したデータによると、早ければアメリカは2020年には、経済大国NO.1の地位を失う可能性がある。

同社は、ロンドンに拠点を構えて、現在世界5位の金融機関で、70ヵ国に事業ネットワークを持つ金融機関だ。アジア太平洋地域に強みを持ち、売上の65%を稼ぎ出し、特に香港では収益の30%を得ている。

同社の発表によると、早ければ2020年までに中国が、米国を抜き、2030年までには、インドにも抜かれると予想している。

米国が、近い将来に中国に抜かれると言うのは、一般的に統一された見解となっているが、多くの専門家の予想は、それは2030年辺りの予想となっていた。
今回の発表は、それが大幅に前倒しされるという見解であり、話題を集めています。

ただ当然だが、これには様々な障害が存在する。
中でも、最大の問題は政治リスクであろう。これは、『果たして、中国がいつまで一党独裁を維持出来るか?』それに尽きると言える。

中国の民主化運動として誰もが思い出すのが『天安門事件』だ。

89年に起こったこの事件は、世界中に波及し、やがてベルリンの壁の崩壊、そしてソ連邦の解体にまで繋がる。そんな流れに中で、唯一体制を維持した大国が中国だった。
鄧小平が進めた改革開放政策により、国民の生活を確実に向上させる事で、国民の不満を抑えてきたのだ。この辺りは、中国人の合理的精神がかなり寄与していると思われるが、現在その成長にも陰りが見えてきたのだ。

この『陰り』の要因は、米中の貿易摩擦も一つの要因ではあるが、中国経済自体が安定期に差し掛かった事が大きい。
2019年の中国の経済成長率は、世界銀行の予想では6.2%となっている。
この数字は、世界的に見ても、まだまだ高水準で、巷で言われているほど悪い数字ではない。

中国にとっての問題は、中産階級が台頭した事での権利意識の芽生えと、成長から取り残された一部の人間の不満だと言える。

中国では『保八』という言葉が存在する。
人々は、多少権利が制限されても年々生活が良くななる事で、その不満を和らげていた。これら国民の『不満』を押さえられる具体的な数字が、年間8%の経済成長だと言われていたのだ。

結論から言うと、中国は、どこかのタイミングで多党制への制度改正が、行われるのは確実だという事。しかし、一方において、それは独裁色を強める習近平政権では厳しいという現実だ。

『共産主義』と言うと、マルクス・レーニン主義と言った思想を連想するが、実態は特定の階級に一定の『不正』を認め、特権階級化する事で、党への忠誠を維持してきた側面がある。
しかし、近年は不正の粛正により党の基盤自体が弱体化している。

即ち、『党員』にとって共産党を支持しないデメリットは、多く存在するが、メリットは、あまり無いと言うのが現実だ。

習近平が、それを理解しながら『汚職撲滅』に乗り出したのは、それにかこつけた政敵の排除と、国民の不満の鎮静化が必要だったからに他ならない。

個人的見解だが、近い将来に中国が多党制に移行することは、十分可能だと考えている。さっきも述べたように、党員にならないデメリットは存在するが、特権階級になれるというメリットは、かなり縮小してきているのだ。
私達が考える以上に、中国人は合理的な思考を持っている。面子を気にする一方、そっちの方が得だと思えば、あっさりと乗り換えてしまうのだ。

中国にとって、今後10年の政治の舵取りは、その後の命運を決定づけると言って良い。ただ、一方に於いて中国が崩壊して、一夜にして改革開放以前に逆戻りする、と言うような極端な見解も有り得ない。テクノロジーや技術が逆戻りする事は無いのだ。

確実に言える事は、この先の経済の中心は欧米からアジアに移行すると言う事だ。
そして、それに対する抵抗が、現在起こっている米中の貿易戦争に他ならない。
日本は、その意味で地政学的にも非常に重要なポジションを有していると言える。この立場を最大限に利用して、両者の間を立ち回る『したたかさ』こそが、何よりも重要だと言えるのだ。