東南アジア版UberのGrabにソフトバンクGが新たに大規模出資。

 

東南アジアの配車アプリで、独占的と言っても良い地位を確立しているのが、『 Grab 』です。

現在、同社は世界8か国・168都市、230万人のドライバーを抱える。
同社に出資する企業は、ソフトバンクを筆頭に、マイクロソフト、DiDi、マイクロソフト、トヨタ、ヤマハ、ヒュンダイなど層々たる企業が名を揃える。

その企業価値は、既に100億ドルを超え、2018年の配車サービスにおける流通総額は、6800億円、月間アクティブ・ユーザーは3500万人にも達する。

そのGrabが、現在実施している資金調達の規模を拡大し、シリーズHで、50億ドルの調達を目指している事が分かりました。
これにより、ソフトバンクGは、新たに計画の3倍に当たる1600億円を出資する予定で、同社におけるプレゼンスを更に高める事になります。

今回の資金調達は、主に事業の多角化に当てられる模様だ。
近年Grabは、タクシー配車やライドシェアに留まらず、電子決済やフードデリバリーなど、事業の多角化を進めている。

彼らが、目指すモデルは中国のアリババ・テンセントと言ったモデルに他ならない。
つまり、アリペイの電子決済から得られるビックデータをコアコンピタンスとした、情報複合企業への脱皮である。

中国では、アリババとテンセントと言った2大巨頭のアプリが、生活のプラットフォームとなっている。利用者は、1つのアプリをダウンロードするだけで、その中のアプリ内プログラムから電子決済・配車サービス・飲食店予約・投資・税金の払い込みなど、生活に関わる一切のサービスが受けられる。その一方で、それが1つのアプリ内に存在する為、登録などの面倒な作業が、一括して行えるのだ。

このように利用者は、たった1つのアプリをダウンロードすれば、事足りる為、結果的に、他のアプリをスマホ上から排除する事が出来るのだ。

この電子決済によるビックデータは、事業者にとって多大な価値を生み出す。
多くのネット企業は、今まで広告事業を収益の柱としながらも、利用者が何に興味を持ってるかは、検索履歴などを通じて理解出来ても、最終的に何を購入したか、という情報は得る事は出来なかった。
しかし、電子決済により、最終的な購買情報まで得られるという事は、かなり的確なマーケティングを行えるようになる事を意味するのだ。
これらの情報は、GPSによる位置情報と組み合わせる事で、活用の幅は大きく広がると言える。

中国経済が安定期に入ろうとする現在、インドを始め東南アジア市場の重要性は、益々高まりつつある。
その中で、Grabはライドシェアの業界に留まらずプレゼンスを拡大する動きを見せている。これは、他のライドシェア企業とは、若干異なる戦略ではあるが、市場が未発達であるがゆえに、チャンスも大きいと言える。

今回、この将来性豊かな市場にソフトバンクは着実に布石を打ってきた。
孫正義氏の大胆な投資手法と、未来を見通す正確な感性にはいつも驚かされるが、当然、このような投資にはリスクも伴う事は認識すべきである。

彼らが投資するスタートアップ企業は、業界で確固たる地位を確立しているが、未だに赤字企業が殆どである。景気の良い時は、それでも資金調達に苦労はしないが、景気の落ち込みで、資金が集まらずショートする可能性は否定出来ない。

数々の修羅場とギャンブルに打ち勝ってきた孫正義氏であるが、この稀有な経営者がどんな戦いを見せるか、非常に楽しみであると言える。