ドローンや人工衛星、今、上空からの情報が重要視される訳。

イーロン・マスクの『スペースX』、ジェフ・ベゾスの『ブルー・オリジン』、そしてグーグルやザッカーバーグなど、GAFAと言われるITの巨人達は、挙って人工衛星事業に進出している。

且つては、国家事業だった宇宙開発が、コンピューティング技術の進展と低価格化により、民間主導に移りつつあるのだ。
国家主導との明確な違いは、彼らはローテクを駆使して、如何に安くロケットを飛ばす事に注力している点にある。ハイテク満載の国家事業では、採算が合わないのだ。

彼らが、ここまで宇宙開発に力を入れるのは、空からの情報に価値を見出しているからだ。今までは、軍事的に活用されてきた衛星情報が、民間に移行しつつある。
今回は、そう言った人工衛星やドローンを活用したビジネス活用事例を見て行きたいと思う。

・テスラの内部を丸裸にしたRSメトリックス。

2018年、EV自動車メーカー『テスラ』のCEOであるイーロン・マスク氏は、危機に瀕していた。

それは、主力車種である『モデル3』の生産の遅れが原因だった。
テスラは、キャッシュフローに問題を抱えており、モデル3の生産の遅れは、同社の倒産も招きかねない状況だったのだ。当然、市場は正確な生産台数や進捗状況を知りたがったが、イーロン・マスク氏による不確かなツイートに翻弄された投資家は自身暗鬼に陥ってしまった。

そんな状況の中、画期的な手段で状況を打破しようとした企業が存在した。
それが、冒頭の『RSメトリックス社』である。

この企業は、投資家向けに秘匿性の高い情報を提供する企業として知られている。
彼らの顧客は、決算発表の前に業績を知りたい投資家や、ライバル企業の集客状況や生産の進捗を知りたい企業である。

では、どうやって秘匿性の高い情報を入手するのか?
それは、人工衛星を使って宇宙から監視するのだ。

例えば、このテスラの件で具体的に彼らが行ったのは、テスラの出荷場に置かれる車両の監視だった。
つまり、出荷場に停車している車両が、昨日と同じものなのか、それとも入れ替わっているのかを監視する事で、出荷のペースを測定したのだ。

また、彼らが重要視するのは車両の数だけでは無く、突然の増減にも目を光らしている。急な車両数の増減は、生産システムが不安定だという事を暗示しているのだ。

同様に、小売店の業績を調べたい時は、スーパーの駐車場の車の数をトレースする事で、ある程度の需要予測が可能だ。このような情報に、人工知能による解析を加え、顧客に販売する事が、彼らのビジネスモデルなのだ。

・ドローンからの情報で、建設コストを大幅削減。

次は、ドローンを使用した事例をご紹介したい。
活用されるフィールドは建設業界だ。

イギリスのある調査機関のレポートによると、建築資材の調達スケジュールの管理ミスで、資材の15%が無駄になり、結果的に廃棄されているというデータがある。このような無駄なコスト増は、最終的に家賃に転嫁されたり、建設業の収益性を悪化させているのだ。

現在、一部の建築現場では、ドローンが現場の進捗状況を確認するのに活用されている。これにより、後どのくらいの資材が必要なのかを正確に計算することが可能になり、 ロスの低減に繋がっているのだ。

ドローンを建設現場で使うメリットは、人命を危険に晒さず、何度でもデータ収集を行える点にある。また、工事の進捗状況を正確に把握する事で、人員・設備の配置を最適化出来るのだ。これにより、スケジュールが厳格化され、工事の遅れなどによる無駄なコストを排除する事が出来るのである。

また、完成後の保守管理にも絶大な役割を果たす事ができ、その重要性は年々高まっていると言えるのだ。

人工知能全盛の時代の到来と言う言葉は、良く囁かれるが、それに不可欠なのがビックデータの存在である。
今、そのビックデータを宇宙や上空から獲得しようとする動きが盛んになっている。

個々の企業の業績は勿論、災害の予測や、漁業、農作物の出来高まで、上空から得られる情報は、まさに宝の山と言える。GAFAに代表される企業が、独占しようとしているもの、それは『情報』そのものだと言えるのである。