自己破産の理由の6割が医療費!?なぜ米国の医療費は高いのか?

メキシコからの移民を防ぐ為に、国境の壁建設に執念を燃やすトランプ氏。

実は、この問題は見る方向を変えると、真逆の問題が存在します。
それは、アメリカからメキシコへ向かう人の群れです。しかし、彼らは移住を希望する人達ではありません。安い医療を求めてメキシコの病院に治療に向かう人達なのです。

2018年、ロサンゼルス市だけで毎月2~6万人の人達が、歯の治療の為に、国境を越えてメキシコに向かいました。
人口当たりの歯医者の数が世界一多いロサンゼルスでのこの現象は、医療費の高騰により、治療を受けれなくなった層が年々増加している事を如実に表しています。

アメリカでは、ちょっとした歯の治療だけでも10~20万円という法外な治療費を請求される事が、当たり前になっているのです。その為、重い病気を患ってしまうと、数千万~数億円の医療費を請求され、自己破産の原因の約6割が、医療費となっているのです。

勿論、高いのは歯医者だけではありません。
例えば、救急車を利用すると20万円前後の請求、入院などしようものなら1泊50万円以上は覚悟しないといけません。その為、全身麻酔を要するような手術でも、日帰りというのが一般的で、例え保険に入っていたとしても、そこまではカバーしてくれないのです。

世界最高水準の医療技術を持つアメリカですが、そこにリーチできる人は、ほんの一握りの人間だけなのが、現実と言えるのです。

分かりやすい所で例では、乳児の死亡率が挙げられます。
アメリカは、乳児1000人当たりの死亡率において、3.7人と先進国では突出して多い事で有名です。(日本 0.9人)
これは、日帰り出産の為に産後、赤ん坊のケアが十分に行き渡らない事が原因なのです。

・米国では、国民皆保険が存在しない。

最大の問題は、国民皆保険が存在しない事です。

つまり、病気をした場合、民間の保険に入っていなければ、全額自己負担となるのです。まだ、記憶には新しいですが、過去にオバマ大統領が『オバマケア』と呼ばれる国民皆保険構想を打ち出しましたが、トランプ氏の反対で廃案になってしまいました。

これは、保険費を払わない国民に対し、罰則を与える法律が災いして、多くの反対が起きたのでした。以前の記事でご紹介しましたが、米国では、ギリギリの生活をしている層がかなり多く、それらの負担に耐えられない事が原因だったのです。

・なぜ米国の医療費は、こんなにも高いのか?

では、なぜ米国では、こんなにも医療費が高いのでしょうか?
その原因は、一言で言うと、行き過ぎた資本主義にあります。

・病院が勝手に決める医療費。

日本では、国が医療費を決める為、原則的に何処の病院に行っても同じ費用を請求されます。この事は、個々の医師の技術が正しく評価されないと言う負の側面はありますが、医療費の抑制に一役買っている事が事実と言えます。

一方、米国では各医療機関が自由に価格の設定を行います。つまり、医療自体が『ビジネス』なのです。

・高過ぎる医師の給与水準。

米国での医師の給与は、他の先進国のそれと比べ、かなり高い水準に設定されています。先進国では、およそ870~1600万円が平均なのに対して、米国は、およそ2200万円と約倍の給与が支払われているのです。

このことにより医師が悪いと断罪するのは簡単ですが、問題の根は深く、掘り下げて行くと教育の『ビジネス化』という側面が見えてくるのです。
年間500万円とも言われる大学の医学部では、卒業時には多額の奨学金ローンを背をわされる事が、常態化しているのです。

・訴訟に怯える医療機関。

アメリカは、訴訟社会である。
特に命に係わる問題の多い医療機関では、多額の賠償費用に備える必要があります。
その費用は莫大で、訴訟や医療ミスに発展しない様に、医療自体が『過剰』になる傾向も否定出来ず、その事が費用を増大させている一面も否定できないのです。

・米国の高過ぎる薬剤費。

病気の治療に不可欠な薬剤費も、他の先進国と比較すると倍以上の値段設定となっている。
象徴的な事件として、2016年にチューリング薬品のCEOだったマーチン・シュクレク氏が、『ダラブリム』という薬の製造販売権を買収し、一夜にして価格を55倍に引き上げた事がありました。
このように、競合他社を買収する事で、薬の販売を独占化し価格を吊り上げると言う手法が常態化しているのです。

このように、米国では医療のビジネス化が社会問題となっています。

結局のところ、これを是正する為には国が医療と薬価の値段を統制する必要があるのですが、彼らは莫大な資金を背景にロビー活動を行う為、いつまで経っても、問題は是正されずに存在してしまっているのです。

私個人の考えでは有りますが、医療と教育と言う分野に於いては、ある程度の国家の介入をするべきだと考えています。
ただ、現実問題として先進国では、高齢化に伴う医療費の高騰が、国家財政を聞きに晒している側面も有りますので、人工知能などのテクノロジーを積極的に医療分野で活用し、省力化を図って行く必要性を感じています。