迷走する滴滴出行( DiDi )。果たして出口は見つかるのか?

中国のライドシェア市場で、独占とも言える地位を築いていた滴滴出行(DiDi)が危機に瀕している。

滴滴出行は、2018年の上半期だけで660億円もの赤字を計上した。
赤字の大部分は、乗客への割引クーポンや、ドライバーへのボーナスであった。同社は、2018年には黒字転換を果たし、会社として10億ドルの利益が見込めると発表していた。

DiDiは、設立5年でライバルを次々と吸収。市場をほぼ独占したにも関わらず、なぜ利益が出ないのか、その原因の大部分が相乗りサービス『順風車』で起こった2度の殺人事件だと言える。これにより業務停止へと追い込まれた同社は、売上が大きく減少してしまったのだ。

この順風車は、DiDiの事業の中で唯一の黒字事業で、年間8億元の売上があったと言われているが、事業停止により、これら全ての売上が消え去ってしまったのである。
このような事態の中、その隙を縫って美団点評が同事業への参入を発表するなど、業界地図が大きく変化する予兆を示している。既に、南京・上海と言った主要都市では、市場シェアの1/3を獲得したとされており、急激に力を付けているのだ。

・厳格化されるドライバー資格

ここ数年、何百人ものドライバーが、配車サービスに参加している。
彼らを惹きつけるのは、柔軟な勤務時間だ。生活費の高い中国の大都市では、このようなパートタイム労働からの収入が非常に重要なのだ。

しかし、今回の規制では、このようなパートタイム労働者は締め出される事になる。乗客の輸送に当たる運転者に、これまでより遥かに厳しい資格が求められるようになるからだ。これにより、南京市だけでも16万台もの車両が排除される事になり、需要に見合った数の車両を集める事は、益々困難になる事は、容易に予想されるのである。

政府による規制の強化に晒される同社は、経営の多角化を進めている。
特に注力している分野は金融市場で、ギグエコノミー労働者と、その家族に向けた保険や、EV車のリース事業などを相次いで立ち上げている。

但し、莫大な赤字を垂れ流し続ける同社にとって、新たな資金調達は避けて通れない問題だ。ライドシェア事業の将来性が見えない中、如何に資金を集めるかと言う点は、同社にとって最大の問題と言えるのだ。

そして、この事は同社の筆頭株主とされるソフトバンクグループにとっても大きな問題だと言える。既に同社は滴滴出行に対し5500億円という莫大な投資を行っている。この資金が焦げ付く事は勿論、世界中のライドシェア企業に投資を行う同社が、巨大市場である中国でプレゼンスを築けない事は、彼らの経営戦略上、大きな不安要素に成り得るのである。

今年、香港市場でのIPOが噂される同社ですが、無事に上場出来るかが、非常に大きな意味を持っていると言えます。
仮にIPO計画が頓挫するような事があれば、近い将来に資金繰りに窮する事にも成り兼ねません。そうなれば、ソフトバンクを始め、多くの出資企業に影響を及ぼす事は確実と言えます。

企業価値が8兆円を超えるとも言われる同社ですが、今年の動向は目が離せない状況だと言えるのです。