独自の経営戦略を貫くトレーダー・ジョーズの哲学とは?

ウォルマートにクローガー、コストコと言った米国の生鮮スーパー業界で、独自の路線を貫き人気を博しているスーパー、それがトレーダー・ジョーだ。

トレーダー・ジョーは、現在人気のオーガニック商品を主力に扱うスーパーとして知られている。オーガニック商品は値段が高い、という常識を覆し世界中のユニークな商品を格安で販売する事で急成長してきたのだ。

全米に350店舗近いスーパーを運営する同社だが、店内に入ると、他のスーパーとの違いを直ぐに感じる事が出来る。それは、何処のスーパーにもあるナショナルブランドの商品が殆ど見当たらないのだ。

それもその筈で、店内商品の約8割がプライベート商品となっている。

彼らの戦略は実に明快だ。つまり、商品数を1/10まで削減して大量に仕入れるのだ。
しかも、仲介業者を挟む事無く、製造業者から直接仕入れる事を信念としている。商品数が少ないと飽きるのではないか?とお思いかもしれないが、毎週15製品程度の商品を、定期的に入れ替えており、常に新しい商品で顧客をワクワクさせる事に注力しているのだ。利用者は、この輸入商(トレーダー)のジョーが、世界中を駆け巡って見つけて来る新しい商品に魅了され、熱心なファンを多く抱えているのが、この店の特徴だと言える。

彼らが、最も重要視するのは、此処でしか買えない商品を提供する事に他ならない。その精神は、チラシにも見て取れる。彼らが作るチラシには、価格が一切記載されていないのだ。勿論、だからと言って値段が高い訳では無く、格安なのだが商品そのものの良さを理解して欲しいという彼らの思いが、そこに現れている。

その為、食の安全性を含め消費者の不安を取り除く事も、彼らの重要な仕事の1つだ。フレンドリーさを前面に出した彼らの接客は、例えば、味を知りたいと言えば、商品を開けて試食させてくれたりと、非常に臨機応変できめ細かい。
また、遺伝子組み換え食品なども取り扱わず、消費者の安心と安全を追求するという経営理念を持っているのだ。

ネット全盛の時代に於いて、彼らは実店舗に価値を置いている。
つまり、厳選された商品をフレンドリーな接客で提供する事に価値があるのだ。

しかし、一方に於いてこう言った理念が、利便性を犠牲にしている事も否定出来ない。それは、ライバルたちが盛んに導入しているカーブサイド・ピックアップやネット注文・配達への対応の遅れである。

且つて、スターバックスコーヒーは中国市場でのデリバリー導入の遅れが災いして、大きくシェアを落とした事がある。それは、『サードプレース』つまり、家庭や職場と違った、第3の場所を提供する、と言った経営理念にそぐわなかったからだ。結局、最終的にはアリババと提携する事により、デリバリーサービスを導入するが、遅きに失したと言える。

オムニチャネル化が進む小売業界であるが、この利便性・効率性と言うキーワードは、今や無視出来なくなっている。体験を重視する余り、そこがおざなりになってしまっては行けない。
大切なのは、顧客に選択肢を与えるという事だと言えるのだ。