1日平均2400万件の注文を獲得するデリバリー企業、美団点評とは?

 

中国では外食文化が根付いている。
この背景にあるのが、女性でもフルタイムで働く事が当たり前とされる中国の慣習にある。その上、都市部になる程、その労働時間は長くなる傾向にあるのだ。
この専業主婦の割合の少なさが、夕食は外食かデリバリーで済ましてしまおう、という需要のベースになっている。

この食品デリバリー界の二大巨頭と言われるのが、アリババ傘下の『ウーラマ』と、本日お伝えする『美団点評』だ。

フードデリバリーと言うと、以前このブログでお伝えした米国の『グラブハブ』のような企業を想像されると思いますが、美団点評は、その他にも配車事業、映画チケットの販売、シェアサイクル、そして、生鮮スーパーの経営と、多角的なビジネスを展開する巨大グループだと言える。

そんな彼らの主力事業が、『外売』と呼ばれるデリバリー事業だ。
その事業規模は、顧客が3億5700万人、提携事業者は510万社、配送スタッフは53万人にも及び、1日に受ける注文数は2400万件にも及ぶ。

・後発の美団点評が、一躍業界トップの座へ

元々、この『外売』事業は、上海交通大学の学生であった張旭豪氏が、学生向けに始めたサービスが始まりだった。

昔から中国の飲食店では、持ち帰りサービスが一般的だった。
学食は存在するものの、少しでも美味しいものが食べたい学生は、近所の飲食店の持ち帰りサービスを利用してる人間が多かったのだ。そこに目を付けた張氏が、ネットで注文を取れるようにして、料理を学生寮まで届けるビジネスを始めたのだった。

このサービスが受け、彼は、食品デリバリー業『ウーラマ』を起業し、その便利さが受け、次第に学外の顧客が増えて行き、そして瞬く間に全国の都市部に広がったのだ。

この様子を見ていた美団点評の王興氏は、早速、同市場に参入する事になる。

彼らの戦略は、『ウーラマ』が進出していない都市を中心に参入して、そこでのシェアを盤石にすることだった。彼は、入念な市場調査を重ねては、着実に結果を残して行ったのだ。ここでは、当時まだ学生であったウーラマ創業者の張氏と、既にプロ経営者であった美団点評のCEO王興氏の実力の差がはっきりと出てしまったと言える。

結局、美団点評は6割の市場シェアを獲得し、後発ながら業界トップの座を射止めたのだった。

彼らの展開するビジネスを、単なる配達代行業として捉えると、その本質を見失う事になる。
彼らは、飲食店に変わって、注文から決済、そして配達までのプラットフォームを提供するIT企業なのだ。
同社は、ライバルの『ウーラマ』がアリババの資金を調達しているの対し、テンセントの資金を受け入れている。そして、既に昨年9月には香港市場に上場を果たしているのだ。

順風満帆に見える同社であるが、最大の経営課題は黒字化だ。

売上に関しては毎年、倍増する同社であるが広告費用の増大で、2017年には、3000億円を超える赤字を計上している。
現在、この分野では熾烈な値下げ競争が繰り広げられており、業界2位のウーラマと共に、莫大なマーケティング費用を投入している。更に、最近は滴滴出行(DiDi)の新規参入もあり、過当競争に発展しつつあるのだ。

このアリババとテンセントの代理戦争とも言える状態は、中国経済の至る所で発生している。今回、美団点評は、上場による財務体質の向上を受け、この戦いは、益々加熱すると思われます。現在、美団点評は、飲食店だけで無く、スーパーやドラッグストア、またそれ以外の業種にまで進出し、買い物代行業として脱皮しようとしています。この先、業界地図がどう移り変わるか、興味を持って見て行きたいと思います。