中国シェアサイクル市場を制するのはアリババか!?

中国のシェアサイクル市場を巡る攻防が終盤に差し掛かってきた。

一時は、数百にも及んだ新興企業が、激戦を繰り返し集約化されつつあるのだ。
現在、シェアサイクル業界は、トップ3による最終決戦とも言える状況を迎えつつある。そのプレーヤーが、ofo、mobike(モバイク)、そして、後発のhellowbike(ハローバイク)だ。

元々、シェアサイクル事業のパイオニアは、ofoのCEOである載威氏であった。

彼が、シェアサイクル事業を立ち上げようとした当時、自転車は既に過去の乗り物となっていた。
且つての中国は、誰もが自転車に乗る国で、町は自転車で埋め尽くされていた。しかし、経済が発展し地下鉄やバスなどの交通機関が整備されると、自転車は『貧しい中国』の象徴として、誰も乗らなくなったのだ。

そんな中、載威氏がシェアサイクル事業を始める場所に選んだのが、当時通っていた北京大学の構内であった。

広大なキャンパス内を移動するのに、自転車は丁度良い乗り物だったのだ。
しかし、自転車を購入する資金が無かった彼は、ここで斬新なアイデアを思いつく。それは、自転車を寄付して貰う代わり、その人には、無料でシェサイクルを使えるようにしたのだ。当時から盗難や、いたずらなどで困っていた学生たちは、挙ってこのシステムを利用して、瞬く間に2000台もの自転車が集まったのだ。

自転車の便利さが再評価されるにつれ、シェア自転車のサービスは、学外に広がり急激に普及を果たすようになる。
アプリで簡単に借りれて、目的地に着けば気軽に乗り捨てる事が出来る。その上、値段は1時間数十円という安さと便利さが受けたのだ。

それにより、続々と競合する企業が現れ、街中に自転車が溢れだすと、次第に修理などのメンテナンスが行き届かなくなり、廃棄自転車が社会問題となってきたのだ。

・経営難に陥ったofo

自転車の廃棄が社会問題化すると、行政が規制に乗り出し状況が変わってきた。
中国では、採算度外視で先に市場を押さえに行く為、莫大な金額の資金が必要だが、それが上手く集められなくなってきたのだ。

それにより、ofoは経営難が噂されるようになり、利用者が我先にと保証金の返還を求め出したのだ。最終的に、ofoは資金難に陥り、自転車を担保にアリババからの融資を受け、現在再建中となっている。既に、CEOの載威氏は、国のブラックリストに載せられており、列車や飛行機などの移動にも制限が加えられていると言われているのだ。

・独自の戦略で急成長したハローバイク

ofoのライバルであったモバイクも、莫大な投資合戦に耐えられず美団に買収される中、最近、急激に力を付けてきているのがハローバイクだ。
現在、ソフトバンクも出資を検討していると伝えられる同社は、他社との明確な差別化を掲げ、参入してきた。

彼らの戦略は、ライバルたちが北京や上海と言った1級都市に注力する中、2.3級都市をメインターゲットとしている点だ。
そして、特徴がもう一つ、それは保証料を取らない点にある。

ハローバイクの筆頭株主は、アリババの金融関連子会社であるアント・フィナンシャル社である。電子決済で有名な同社は、アリペイを武器に、個人の信用スコアサービス『芝麻信用』を展開している。その点数が高い人を対象に、保証金の免除を行ったのだ。

ofoの保証金回収が社会問題化する中、この施策は利用者から大きな支持を受ける事になる。
そして、この事が実は意外な効用をもたらしたのだ。

それは、会員が優良な顧客に絞られる為、自転車の故障率を大きく下げる結果になった事だ。これにより、投棄される自転車が減少し運用コストを大きく下げる事に成功したのだ。

・最終段階に入ったシェアサイクル戦争。

現在、ofoに関しては効果的な戦略は打ち出せておらず、保証金問題も未解決なままである。
その為、このまま行けばofoは、『借金のカタ』として、アリババに差し押さえられる可能性が高い。アリババとすれば、関連子会社のアント・フィナンシャルが筆頭株主を務めるハローバイクと合併させて、業界首位の座を確固たるものとしたいと、考えるのは当たり前と言える。

一方、モバイクを傘下に収めた美団は、テンセント系の企業だ。
食品デリバリーを本業とする同社は、モバイクを使用したデリバリー事業へのシナジーを求めて来る筈だ。

プレーヤーが出揃った感のあるシェアサイクル市場であるが、これからは各社がいかにマネタイズ化して行くか、が重要になって来る。
もはや、中国人にとって無くてはならない存在へと成長したシェアサイクルであるが、黒字化させている事業者は未だ存在しない。

そして、ここで重要になって来るのが、人の移動に関する『ビックデータ』だ。
これに、アリペイなどのお金の動きの情報を組み合わせて、如何に他の事業とのシナジーを構築出来るか、その事が重要になって来ると言える。